トップ国内防衛島嶼の空母化・日米連携で国土守れ

島嶼の空母化・日米連携で国土守れ

●中国の覇権拡大

中国は建国してからアメリカを主敵と見なして軍拡を続けている。中国建国時の人民解放軍の戦力はアメリカ軍と比較すると貧弱だった。だが人民が貧困で苦しんでも核戦力と原子力潜水艦の保有に邁進した。

中国は2020年代からアメリカのグローバルスタンダードを受け入れて経済的に急成長した。中国は安い人件費を武器に世界各地の企業を受け入れて生産した。これで中国は世界の工場と呼ばれ富を手に入れる。

中国の国家主席が習近平に変わると一帯一路構想を開始する。中国は南シナ海で人工島を急速に建設し、さらにインド洋沿岸部・アフリカ・太平洋諸島などに一帯一路構想に従い基地建設を進めている。中国の一帯一路構想はアメリカ軍の脅威と見なされ急速に米中関係が悪化した。これでアメリカ海軍は「自由で開かれたインド太平洋」を掲げ定期的に南シナ海で軍艦を航行させており日本の海上自衛隊も参加している。

●始まりのペロポネソス戦争

世界は紀元前の時代から大陸国家と海洋国家に区分されており、政治・軍事で戦争の種になっている。歴史的に古い大陸国家と海洋国家の戦争は紀元前431年から紀元前404年のペロポネソス戦争。海洋国家アテネと大陸国家スパルタが中心となりお互いに同盟を結成して戦争した。

・地政学:生活環境が人間の思考と行動を先決的に規制する。
・大陸国家:国内は独裁で国外には民主的
・海洋国家:国内は民主的で国外には独裁的

生活環境が人間の思考と行動を先決的に規制することを学問にしたのが地政学。世界に存在する国は男女の性別に似た大陸国家と海洋国家に区分される。大陸国家は土地から資産を得るから“独占”し農業・地下資源を行う。こうなると他人を“支配”して厳格な上下関係と主従関係の身分階級を構築する。

さらに大陸国家は土地を同心円状に拡大することで効率良く資産を増やす傾向を持つ。実際に今の中国は第一列島線・第二列島線のように同心円状に領土拡大を進めている。このため大陸国家の政治は国内では国内の反乱を抑える目的で独裁的になり、外国には味方を増やす目的で民主的に振る舞う傾向を持つ。実際に習近平も生活環境が人間の思考と行動を先決的に規制する思考で生きている。

海洋国家は海外貿易で利益を得るから海上交通路が生命線になる。このため貿易相手には有利な条件で貿易を行うため独裁的になる。さらに貿易を行う海上交通路が生命線だから遮断されると認識したら戦争を行う傾向を持つ。そして海洋中国は外国に敵を持つから国内では民主的に振る舞う傾向を持つ。

実際に海洋国家であるアメリカは外国が海上交通路を遮断する動きを見せたら即座に空母打撃群を派遣して威嚇している。さらに国内では民主的に振る舞い外国には高圧的な態度でアメリカに有利な条件を押し付けいている。これはトランプ大統領がアメリカに有利な条件を日本に強要しているし世界に関税を武器に威嚇している。トランプ大統領も生活環境が人間の思考と行動を先決的に規制する海洋国家の思考で生きている。

●海上自衛隊の参加は良いことだ

日米共同訓練で、日本周辺空域を飛行する航空自衛隊の最新鋭ステルス戦闘機F35(手前4機)と米空軍のステルス戦闘機F22(奥4機)、KC135給油機(中央)=1日(米インド太平洋軍ホームページより・時事)

アメリカ海軍は定期的に南シナ海を「自由で開かれたインド太平洋」を掲げ軍艦を航行させている。これで南シナ海は「中国の領土ではない」ことを軍艦の定期的な航行で習近平にメッセージを伝えることが目的。

■海自艦など2隻がカンボジア寄港 「自由で開かれたインド太平洋」実現へ中国牽制狙い
https://www.sankei.com/article/20250419-IDCAJXD46ZOJZP4H5KL2BK3ZEU/

これに日本の海上自衛隊が参加することは同じ海洋国家の日米同盟を習近平に示すことになる。政治的に公式なメッセージではないが間接的に日米軍事同盟のメッセージに使われている。日本政府は親中派が多いが軍事では影響されていないことを示し、習近平が安易に台湾侵攻・日本侵攻を決断しない最終防衛ラインとして機能している。

●与那国島・石垣島・多良間島・宮古島・奄美大島・種子島の空港を空母化する

日本は海洋国家だから島嶼に地対艦ミサイルを配備することは海洋国家の国防方針として失敗。何故なら海洋国家の海上交通路は生命線だから空母艦隊・戦闘機を用いた海上交通路の防衛を行うのが基本。日本が長射程の地対艦ミサイルを島嶼に配備しても大陸国家の沿岸砲による国防と同じ。

明治時代の日本も沿岸砲で国土を守ろうとした。これは当時の日本が地政学を知らないから結果的に大陸国家の国防方針を選んだ。このため政治家・軍人共に地政学を知らないから結果的に大東亜共栄圏と言う大陸国家の地政学・戦略を採用し敗戦の道に進んでいる。

では今の日本を見ると、政府・自衛隊共に大陸国家の国防方針で国土を守る愚策を選んでいる。これは明らかに政治家・自衛隊に地政学を知らない者が多数派であることを示している。

 本来の海洋国家の国防方針は国内と国外に基地を連ねて相互支援できる基地・泊地を連結させる。さらに海上交通路を守るために与那国島・石垣島・多良間島・宮古島・奄美大島・種子島の民間空港・港を整備して民間空港の空母化を進めることになる。

理想としては民間空港を整備して空母化ではなく基地に変えることが望ましい。だが基地を支援する周囲の都市機能が弱いので30年以上のインフラ整備が求められる。石垣島は都市機能として基地を支援する能力が不足しているが、インフラ整備で石垣島を基地に変えることはできる。

だが与那国島・多良間島・宮古島・奄美大島・種子島などは都市機能がないのでインフラを整備しても民間空港の空母化に留まるのが現実だ。しかし民間空港を空母化できることは戦闘機を運用するには有益。実行されたら中国は太平洋に進出することが困難になり、隣接する島の相互支援で自衛隊も防衛が楽になる。

海洋作戦の基本構想として、与那国島・石垣島・多良間島・宮古島・奄美大島・種子島の空母化された空港から航空自衛隊の戦闘機が制空権を獲得する。この航空自衛隊が獲得した制空権下で海上自衛隊の空母艦隊が機動して仮想敵国の空母艦隊を打撃する海の機動防御が可能になる。

この島の戦闘機が獲得した制空権下で空母艦隊が機動する海の機動防御は第二次世界大戦のアメリカ海軍がミッドウェイ海戦で実行し日本海軍の空母艦隊を撃破している。当時のアメリカ海軍はミッドウェイ島で日本海軍を拘束し空母艦隊を用いて攻撃に成功した。基本的にアメリカ海軍は基地の戦闘機に制空権を確保させ、空母艦隊で攻撃する海の機動防御を基本とした。これは海戦の基本だから与那国島・石垣島・多良間島・宮古島・奄美大島・種子島の民間空港を空母化し航空自衛隊の戦闘機を配備する。次に海上自衛隊の空母艦隊が海の機動防御を行い敵艦隊を撃破する流れを基本とすべき。

●インフラ整備と国防は経済効果になる

与那国島・石垣島・多良間島・宮古島・奄美大島・種子島の民間空港を空母化することは国防の強化に留まらない。何故なら民間空港で航空自衛隊の戦闘機を運用するには整備に必要な整備・休息・食料・医薬品などの物資を備蓄・輸送するためのインフラ整備が必要になる。

このためには民間用のインフラ整備を行うので雇用対策と物流の強化を意味する。こうなると民間の物流が増加すると現地の物産を本土に売ることになり、逆に本土から自衛隊施設に運ぶコストも下がることになる。自衛隊施設を支援するインフラ整備が民間の雇用に繋がるから経済効果が期待できる。

さらに与那国島・石垣島・多良間島・宮古島・奄美大島・種子島までの民間空港の空母化は日本の国防だけではなくトランプ大統領が望む軍事強化になる。さらにアメリカ海軍から見ても自衛隊施設を共有することは有事の際に作戦が容易になる。このため日本政府は与那国島・石垣島・多良間島・宮古島・奄美大島・種子島の民間空港を空母化して雇用対策と国防強化を行うべきだ。そうすればトランプ大統領の不満も解消できる一石二鳥の結果になる。

(この記事はオンライン版の寄稿であり、必ずしも本紙の論調と同じとは限りません)

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