沖縄県名護市辺野古沖で今年3月に発生した同志社国際高校(京都府)の研修旅行中の抗議船転覆事故を巡り、事故の真相解明と沖縄における平和教育のあり方を問うシンポジウムが26日、浦添市で開催された。平和教育の危機と、反基地活動に伴う違法行為の取り締まりがテーマ。登壇者は、「平和学習でなぜ人が死ぬことになったのか。もっと考えてほしい」と聴衆に呼び掛けた。

辺野古事故では、金井創牧師(日本基督教団佐敷教会)が操縦する小型船に続いて、救助に向かった後続の抗議船「平和丸」も転覆し、生徒や乗組員ら21人が海に投げ出された。この事故で修学旅行生の武石知華さん(当時17歳)と金井氏の2人が死亡した。7月には、武石さんの遺族が抗議船を運航したヘリ基地反対協議会や学校関係者ら計11人を刑事告訴した。
■教育現場は両論併記を無視
シンポジウム主催者は開会あいさつで、遺族である知華さんの姉が文章投稿サイト「note」に寄せた「父がこのnoteを開設した目的の一つに、知華を正しく伝えたい思いがあり、知華は誰かの思想のためや基地反対活動のために沖縄に行ったのではない」という文章を引用し、遺族の切実な訴えを紹介した。
年間約35万人の修学旅行生が訪れる沖縄で、本来「命の大切さ」を伝えるはずの平和学習の現場で尊い命が失われた重さを直視すべきだと強調。「これは単なる安全管理の問題にとどまらず、平和教育そのものの危機である」と指摘し、文部科学省が「研修旅行において特定の見方や考え方に偏った取り扱いがあった」と認定した事実を挙げ、特定の基地反対運動と一体化した偏向教育の是正を訴えた。
SNSで反基地活動家の実態を発信してきたラジオパーソナリティーの手登根安則(ボギー・てどこん)氏は、長年現場の様子を見てきた経験から「平和教育」の名を借りた政治活動の実態を告発した。手登根氏は「約13年前から辺野古をウオッチしてきたが、辺野古の違法テントに修学旅行生が引き込まれ、一方的な思想注入が行われてきた」と述べた。数年前にも県立高校生ら約300人が、辺野古漁港の違法テントで反対派からレクチャーを受けていた実態を写真と共に提示した。
さらに、辺野古漁港と米軍基地間のフェンスへの横断幕掲示やその寄付金(カンパ)集めなど、県外の労働組合などの団体から資金を集め、実績作りの場となる「平和ビジネス」と化していたと指摘。陸上での掲示が規制されると、無登録・無保険の違法な船に高校生らを乗せる沖合ツアーへとエスカレートし、今回の惨劇を引き起こしたと分析した。
手登根氏は「決して偶然に起きた事故ではなく、彼らは『反基地無罪』とやりたい放題やってきた」と非難した。
偏向教育の具体例としては、浦添市の小学3年生に「滑走路なんていらない。基地を絶対作らせない」と作文を書かせた事例や、嘉手納町内の小学校で担任がオスプレイ反対集会のビラを児童に配った事例を紹介した。ほかにも、進学校の生徒が「日の丸の白は白骨、赤は血の色、君が代は人殺しの曲」と刷り込まれていた実習例を挙げ、「両論併記を無視し、教員の政治的信条を子供に注入している」と県内の一部教育現場を強く批判。「二度と悲劇を繰り返してはならない」と強く訴え、政治的中立性を担保する「平和ガイド認定制度」の創設を提言した。

■反基地活動は衰退も、取り締まり徹底せよ
元石垣市教育長で県立高校長や沖縄県立平和祈念資料館での勤務経験を持つ玉津博克氏は、金井氏が同志社国際高校の研修旅行の開会礼拝で「日米政府が勝手に決めた線引きを超えてあえて入っていき交流する」と語るなど、法令違反を犯すよう生徒に示唆していたことを問題視した。教育基本法第14条第2項の特定政党支持や政治活動の禁止に明確に違反していると断じた。
県内では6月になると23日の「慰霊の日」に合わせ、平和学習月間となる。玉津氏は、共産党系教員らにより「南部戦跡」の悲惨さばかり教えられてきたと指摘した。南部戦跡は日本軍にとって沖縄戦の最終的な局面で軍民混在の苛烈な戦地であったと説明。「南部のみに焦点を当てることは戦争の実相や全容を伝えることにはならない」と語り、「戦争=悲惨=基地反対」という単一の思考に誘導されてきたことを問題視した。
浦添高教員時代、地域に残る陣地跡(仲間高地)や日米激戦地、住民の遺品展などを通じて戦争の実態を多角的に生徒に教えた経験を紹介し、歴史の真実究明の重要性を訴えた。加えて、「いかに平和を維持するかという現代の安全保障の視点も重要だ」と語った。
パネルディスカッションでは、抗議現場に対峙してきた男性が登壇し、数年前に反基地活動家のいる現場に行くと「石鹸臭いから右翼のスパイだ」と反対派に取り囲まれ暴行を受けた異様な実情を証言した。普天間飛行場の野嵩ゲート前で米軍車両に「ヤンキー・ゴー・ホーム」など、暴言を吐く反対派と、てどこん氏らが行った「You are our good friends」(あなたたちは良き友人です)というメッセージを掲げて米軍に感謝を示す「ハートクリーン活動」を対比した。
新知事誕生後の反基地活動家の動きについて、反対派が高齢化し、衰退の一途をたどっているとした。しかし、玉津氏は「学生時代に起きた東大闘争で新左翼が活発だった。中国共産党を率いた毛沢東が使った『造反有理』―体制や権力に反抗する意義や正しさがあるという言葉を信じている当時学生だった70代(の活動家)がまだ現場にいる」とし、徹底的に違法行為を取り締まるべきと訴えた。
■子供が安心できる環境を
一般公務員や教員の政治活動規制と違法テント撤去に向けた行政・国の連携を期待する意見も出た。主催者は「偏向した平和教育を正し、子供たちが安心して学べる環境を取り戻すことこそが遺族への最大の報いとなる」と締めくくった。
主催者は、遺族が開設した「辺野古転覆事件の全容解明と再発防止を求める会」を支援するため、寄付金やクラウドファンディングの資金を全額遺族に届け、今回のイベント開催についても遺族と連絡を取ったと説明した。







