トップ国内沖縄国防の覚悟、沖縄から発信を 佐藤正久前参院議員が講演

国防の覚悟、沖縄から発信を 佐藤正久前参院議員が講演

 「第5回大東亜戦争奉慰顕彰祭・講演会」(主催・一般社団法人日本沖縄政策研究フォーラムなど)が8月29日、豊見城市の沖縄県空手会館で開かれた。「英霊顕彰がつなぐ日本の未来、および沖縄から発信する責任ある平和の学び」をテーマに政治家らが講演した。佐藤正久前参院議員(自民党)は、中国で「琉球有事は中国有事」という言説が使用されている現状に強い危機感を示し、「沖縄が日本、そして自由主義陣営の最前線であるという自覚を持ち発信することが重要だ」と訴えた。

講演をする佐藤正久前参院議員=8月29日、豊見城市(竹澤安李紗撮影)
講演をする佐藤正久前参院議員=8月29日、豊見城市(竹澤安李紗撮影)

■中国SNS「琉球有事は中国有事」

 佐藤氏は元自衛官としての専門的見地から、日本が直面する国家存亡の危機と、防衛の最前線となる沖縄が果たすべき役割について論じた。

 中国のSNSなどでは2025年11月に「琉球有事は中国有事」と主張する投稿が確認されている。佐藤氏は、安倍晋三元首相の「台湾有事は日本有事」や高市早苗首相による台湾有事答弁に対抗したものだと解説した。中国が示す地図では「琉球」の範囲には沖縄の全島、そして鹿児島の南側の島々までが内包されている。中国共産党が不当な論理で日本に圧力をかけ、領土拡張の野心を沖縄へ向けている。

 中国共産党の圧力は具体的な海洋行動としても顕在化している。26年5月28日、日本とフィリピンが排他的経済水域(EEZ)や大陸棚の海洋境界を定める交渉の開始に合意した際、中国は激しく反発した。邦人拘束に加え、6月9日には中国海警局の船が与那国島沖の日本のEEZ内で初めて「中国の管轄区域だ」と主張。6月末には沖縄本島北西のEEZ内で海洋調査していた海上保安庁の測量船「拓洋」に対し、中国が調査中止の要求を繰り返した。佐藤氏は「こうした要求は12年の尖閣国有化以来14年ぶりの深刻な事態だ」と指摘した。

 7月19日には中国海軍とロシア海軍の艦艇が沖ノ鳥島の南西海域EEZ内で実戦演習を実施し、中国が機関銃射撃の訓練を行ったと報道されている。このほか中国が一方的な開発を進める東シナ海の日中中間線付近のガス田では、6月23日時点で23基だった構造物が7月31日時点で24基に増えていると説明。中国は日本だけでなく、台湾の東方海域を中国の管轄海域と宣言し、海底ケーブル周辺の巡回などの示威行動を活発化させている。

 沖ノ鳥島を「岩」と主張し日本の行為を国際法違反と主張するなど、中国の対日威圧行為は法律戦にまで及んでいる。佐藤氏は「中国の現状に対し危機感を持っている人は日本国内で非常に少ない」と強調した。

中国のSNSで拡散されている画像(講演資料)

■防衛技術は中国に遅れ

 防衛の概念は、技術革新によって劇的な転換期を迎えている。佐藤氏は、最新の「防衛白書」で「新しい戦い方」が重要キーワードに据えられたことを挙げた。軍事対立の主戦場が人工知能(AI)やドローン、ロボット技術へと移行している現代戦の様相を解説し、「ここでも技術革新の進む中国を意識していかなければならない」と釘を刺した。

 ウクライナ戦では、安価な自爆型ドローンが戦場のパワーバランスを根底から覆している。26年のイラン戦争でも、350万円程度の安価なドローンが約2000キロを飛行し重要施設を襲撃する中、迎撃する米軍側は数億円規模のミサイルで対処せざるを得ず、非対称なコスト負担を強いられている。佐藤氏は、沖縄から青森まで飛行できるドローンが、外国から無数に攻めてくる脅威を指摘。「日本は中国の技術に3、4周遅れている」とし、国防を支える主要技術を中国に依存していることに警鐘を鳴らした。

 現在、日本国内のドローンの91%(25年4月経済産業省調査)が中国製であり、日本製はわずか3%にすぎない。さらに、ドローンに不可欠なリチウム電池の世界シェアも中国が約8割を占め、日本はわずか約5%だ。佐藤氏は「ドローンなど主要部品を含めた国産化比率を急ぎ引き上げなければ、有事に対処できなくなる」と論じ、今後10年以内に本格化するロボット戦を見据え、防衛費の増加や沖縄の防衛基盤の整備を訴えた。

講演をする佐藤正久前参議院議員(奥)=8月29日、豊見城市(竹澤安李紗撮影)

■沖縄自衛隊の待遇に憂慮

 続いて佐藤氏は、沖縄の地で国家防衛の任に就く若い自衛官たちの処遇を巡る問題に言及した。

 25年8月5日から6日にかけて陸自宮古島駐屯地の新隊員が、徒歩防衛訓練を実施した際、「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」の清水早子共同代表らが抗議活動を行った。夜通し行軍をした隊員が休憩をしている横で、拡声器を用いて「戦闘服姿の向こうにきれいな朝日を迎えるのは残念です」と非難した。

 駐屯地の司令官(当時)は抗議活動を中止するように要請したが、彼らはこれを「恫喝」と訴え、最終的に司令官が頭を下げて謝罪する結果となった。「この訓練に参加していた自衛官は郷土を守るために志願した沖縄出身の若者たちだった。故郷を守るために汗をかいている自衛官が非難を受け、妨害を受けることは普通ではない」と嘆いた。

 最後に、佐藤氏は、国防の議論になると「自分さえ、今さえ良ければいい」という意識にすり替わる現状を憂慮。主権と平和を維持するためには、国民一人ひとりが国を守る覚悟を持つことが不可欠であり、「沖縄からの発信に期待したい」と強調した。

※ 本記事は事前に取材申請し、主催者の了承を得て掲載しています。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »