トップ国内沖縄「沖縄先住民族ナラティブ」国連で展開 議員らは中国の分断工作を警戒

「沖縄先住民族ナラティブ」国連で展開 議員らは中国の分断工作を警戒

 7月中旬にスイス・ジュネーブの国連欧州本部で開催された「先住民族の権利に関する専門家メカニズム」(EMRIP)第19回会合を巡り、現地に赴いた沖縄の地方議員派遣団が8月12日、報告記者会見を那覇市で開いた。国連で「沖縄先住民族ナラティブ」が展開されている現状に対し、議員団は「主権と安全保障を揺るがしかねない」緊迫した状況と説明。全国地方議員連盟の設立を宣言し、国連や日本政府に対して事実に基づいた反論情報の発信と勧告の撤回を求める方針を表明した。

会見を行った派遣団の(左から)仲村覚氏、宜保安孝豊見城市議、當銘孝文糸満市議、砂川竜一氏=12日、那覇市(竹澤安李紗撮影)
会見を行った派遣団の(左から)仲村覚氏、宜保安孝豊見城市議、當銘孝文糸満市議、砂川竜一氏=12日、那覇市(竹澤安李紗撮影)

 会見には、派遣団団長の宜保安孝豊見城市議、當銘孝文糸満市議、事務局長の仲村覚氏、事務局の砂川竜一氏が出席。現地で派遣団が発言した内容や、国連を舞台とする活動家らによるロビー活動の実態を報告した。

 ジュネーブの会合では、「琉球独立」や「先住民族の権利」を主張してきた「琉球民族独立総合研究学会(ACSILs)」などの団体が「沖縄の代弁者」を名乗ってスピーチ。「沖縄県民は先住民族であり、日本政府から人権侵害や植民地支配を受けている」という偏ったナラティブを国際社会に向けて活発に発信している状況を報告した。

先住民議論知らされない県民

 10年前にもジュネーブを訪れた宜保氏は、「われわれ県民が知らないところで、沖縄県民が先住民族であるという勧告が国連で出されている。これは子供や孫、さらには沖縄の安全保障や豊かな暮らしを脅かす重大な問題だ」と危機感をあらわにした。

 これまで、豊見城、糸満、石垣市の各議会は国連勧告の撤回を求める決議を可決し、意見書を提出している。ただ、地元紙が国連勧告の事実を報じないため、県民は議論の存在すら知らない。「議論なきまま国連で運命が決定されるプロセスこそ民主主義の原則に反する大問題だ」(派遣団)。

 地元メディアによる2017年の調査では、沖縄独立を望む県民は2.6%だった。沖縄県民のほとんどが自身を先住民族とは認識していないと主張する。日本政府も「沖縄県民は先住民族ではない」との認識を発表している。

 政府が消極的な対応をしている間に活動家らによる発信が国連で繰り返された。日本政府へ「琉球・沖縄の人々を先住民族と認めて権利を保障すべきだ」とする国連勧告は08年以来、6回に及んでいる。

先住民勧告に中国関与

 派遣団は、この問題の背後に中国が関与しているとの見方を示した。25年10月には、中国の孫磊国連次席大使が「沖縄人のような先住民族に対する偏見と差別をやめよ」と日本政府を批判している。その狙いは「日本と沖縄を分離・分断させることにある」と指摘。「沖縄の主権を制限し、日米安全保障条約を無効化させるための高度な世論工作だ」と説明した。

 現地では、自称「琉球人」の活動家らが米軍基地問題などを「先住民族の人権侵害」にすり替え、「私たちは迫害されている」「沖縄は再び戦場になりそうだ」といった過激な主張を展開していた。活動家らの主張には、発がん性が疑われる高濃度の「有機フッ素化合物(PFAS)」が在沖米軍基地周辺で検出されているという県の指摘も含まれていた。

 今回、初めてジュネーブ入りした當銘氏は、国連の場で派遣団や同行記者への妨害工作が横行していた事実を明かした。當銘氏は「携帯端末を手に資料を見ていただけで『録音するな』と警告され、悪人のように扱われた。政治的意図の偏った主張が当たり前にされ、われわれ(の主張)を遮ろうとする動きがあった」と証言。同行した日本人記者に対し「偽記者だ」と、いわれのない中傷がなされ、一時的に記者ライセンスが剥奪されるトラブルもあったという。

 當銘氏は「沖縄で生まれ育ったわれわれの生活感覚と、国連の主張にはあまりにも隔たりがある。一部の団体によって沖縄のイメージが捏造(ねつぞう)されている」と訴えた。

 仲村氏は、こうした状況の根本にあるのは「先住民族という概念自体の欺瞞(ぎまん)」であり、「偏った国際世論によるわが国の主権の解体を防がなければならない」と警鐘を鳴らした。また、砂川氏は、「流暢(りゅうちょう)な英語を話す自称琉球人らが民族衣装をまとっている姿に違和感を覚えた」と振り返った。

新議連発足、政府・県に陳情

 会見では、派遣団議員らが発起人となり「国連における沖縄の民主的民意と真の代表性を守る全国地方議員連盟」を設立すると宣言した。

 宣言文では、本土復帰について「沖縄の先人たちは、過酷な米軍統治下における異民族支配を乗り越え、自らの手で『日本人として生きる』道を選び取り、対等な日本国民として権利を行使してきた」と説明。この歴史を無視し、一部の活動家が国連の制度的隙間を悪用して沖縄の「代表」を自称することは、民主的選挙によって選ばれた地方議会と県民に対する重大な冒涜であり、「民意の偽装占有(代表性の簒奪)である」と指摘した。

 同議連は、日本政府に対し、国連における主張に即時反論する体制を徹底することを要請するなど、今後の活動方針を示した。沖縄県議会議長の中川京貴氏に陳情を提出しており、今後は県内41市町村議会への陳情展開や9月の人権理事会へのアプローチを予定している。

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