自民 奪還へ保守結集
沖縄県知事選は1972年5月の本土復帰以降、今回で15回目。保守系と革新系の勝敗は7勝7敗と拮抗(きっこう)している。今回の選挙でどちらが勝ち越すか、注目される。

直近では、2014年の翁長雄志氏(故人)、18年と22年の玉城デニー氏(現職)は、野党の支援を軸とする「オール沖縄」で自民党系候補に勝利した。
ただ、翁長氏は自民党県連幹事長を務め、自公の支援を受けて那覇市長に就任した。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設を旗印に「オール沖縄」が発足した時は、一部の保守と革新が手を結んでいた。それ以来、知事選では、県内の有権者の関心が、生活や経済、社会福祉といった目先の課題から国に対する沖縄アイデンティティーの主張へと切り替わった。
■「辺野古」争点かすむ
県民は3期続けて辺野古移設反対の民意を示した形だが、知事権限を行使した移設阻止の訴えはことごとく退けられた。翁長氏は18年、志半ばで死去。23年には、移設先の設計変更を巡る訴訟で敗訴が確定。埋め立てを阻止する手立てを失い、工事は目下、着々と進められている。
こうした中、玉城氏の支持基盤は著しく縮小している。県レベルの選挙を見ると、県内11市は全て保守系が市長を務める。24年の県議選では与党が議席を大きく減らし、少数に転じた。今年2月の衆院選では、県内全4小選挙区で自民候補が勝利した。辺野古移設は決定事項であり、今回は大きな争点となりそうにない。
■古謝氏に保守系支援
知名度で現職に劣る古謝(こじゃ)玄太氏は、自民、日本維新の会、国民民主など保守系政党の支援を受け、組織戦で優位に戦う。
自民党は、党幹部らが続々と沖縄入りし、古謝氏の勝利に全力を挙げる。古謝氏が野党の推薦を受け、公明党沖縄県本部から支援されていることも踏まえ、「高市カラー」が出過ぎないよう配慮している。
高市早苗首相(自民党総裁)は25日の党役員会で、「政権基盤を占う」選挙と位置付け、「しっかり応援していく」と述べた。4日の自民役員会では執行部に「沖縄県知事選を頼む」とてこ入れを要請した。西村康稔(やすとし)選対委員長は4月以降、6回にわたり沖縄入りし、県連幹部や支援団体との打ち合わせを重ねている。小林鷹之政調会長や片山さつき財務相も告示前に沖縄に入った。告示後は、党幹部が続々とてこ入れに入る予定だ。
保守色が強い高市政権の性格を強めれば、公明票が離れかねない懸念がある。そのため、古謝陣営は政党色を薄め、幅広い層から支持を集める戦略を取る。沖縄に入る自民幹部は、業界団体などを回るのが主で、これまであまり表に出ていない。
首相が選挙期間中に沖縄入りするかどうかも焦点となる。首相は石川県知事選(3月8日投開票)の応援で現地入りしたが、支援候補は敗北した。やや回復傾向にある支持率が判断材料になるか。沖縄でも負ければ、政権にとってダメージとなるため、慎重に見極めることになりそうだ。
オール沖縄 勢い欠く
■先細り焦る玉城陣営
玉城氏を支えるのは、「オール沖縄」を構成する立憲民主、共産、社民の各党、連合沖縄や平和団体など、革新系政党・団体だ。ただ、3月に名護市辺野古沖で起きた転覆事故の影響で、「オール沖縄」のアイデンティティーである辺野古移設反対を前面に出しにくい。玉城氏は、政策の柱から移設反対を外した。
中道改革連合は18日の常任幹事会で、自主投票で臨む方針を決めた。中道結党前の立憲民主党と公明党で過去の知事選対応に違いがあったことに配慮した。「オール沖縄」が先細りで、組織としてまとまっていないため、「非常に焦っている」(玉城陣営)という。
その上、告示直前に下地幹郎氏が、自民と政策合意し、出馬を取りやめたため、陣営は焦りを隠せない。2022年の前回知事選で、下地氏は約5万4000票を集めた。自民推薦候補の得票と合計すると玉城氏に迫っていた。
沖縄自民党県連の元幹部は「沖縄では保守、革新ともに3割の基礎票を持っている」と指摘する。自民や保守系の支持層の中に、「基地負担には反対」という思いを持つ人が一定数いると言われる。「知事選では、革新系候補に寝返る心配がある。保守を勝たせ過ぎるのはよくないというバランス感覚が働く可能性は否定できない」と話した。
知事選には、玉城、古謝両氏のほか、いずれも新人で、諸派の政治団体代表の屋良朝助氏(74)、医療法人会長の末吉正弘氏(73)、会社社長の比嘉隆氏(49)、会社社長の兼島俊氏(47)が立候補を表明している。
《本土復帰以後の沖縄県知事》
選挙年 知事
1972年 屋良朝苗 非自民
76年 平良幸市 非自民
78年 西銘順治 自民系
82年 〃
86年 〃
90年 大田昌秀 非自民
94年 〃
98年 稲嶺恵一 自民系
2002年 〃
06年 仲井真弘多 自民系
10年 〃
14年 翁長雄志 非自民
18年 玉城デニー 非自民
22年 〃
26年 ?
(豊田 剛)







