任期満了に伴う沖縄県知事選は27日に告示され、9月13日に投開票される。出馬を予定している主な候補者は、現職の玉城デニー氏(66)、前那覇市副市長の古謝(こじゃ)玄太氏(42)、元衆院議員の下地幹郎氏(65)。このほか4人が立候補を表明している。争点は、物価高対策と基地負担軽減。選挙のカギを握るとされる無党派層の支持拡大に向け、各陣営はSNS発信に力を入れる。

安全保障の最前線に立つ沖縄県の選択には、国内だけでなく周辺の国々からも注目が集まる。地元メディアはもっぱら基地問題を争点に持ち出す。「世界で最も危険な基地」と呼ばれる普天間飛行場(宜野湾市)の移設先である名護市辺野古沿岸部に政府が土砂投入を始めて7年8カ月が経過した。
■「辺野古」抑えた現職
玉城氏は1期目と2期目で「辺野古『新基地』建設の反対」を前面に掲げた。しかし、3期目に向けた今回、公式ホームページの政策紹介では辺野古のキーワードを4年前の10分の1程度に抑えた。12日の政策発表会見で「誰ひとり取り残さない、沖縄らしい平和で誇りある豊かな社会へ」と語り、物価高対策の支援強化を打ち出した。
3月の辺野古沖転覆事故を受け、抗議船の運航団体「ヘリ基地反対協議会」が玉城氏の支援団体であることから、ネット上で玉城氏への中傷も相次いだ。辺野古問題を巡る玉城氏の言動に注目が集まっており、これまでの選挙戦と同じ訴えができない状況だ。
また、今年2月の衆院選では県内4選挙区で、辺野古移設反対でまとまる「オール沖縄」勢力が自民候補に全敗した。18日、中道改革連合が県知事選で自主投票とする方針を決めた。「オール沖縄」が分裂したことで、玉城氏は厳しい選挙戦を強いられる。

■保守系新人に6党推薦
一方、「10年で手取り2倍」を訴える新人の古謝氏は6政党の推薦を受ける。22年の参院選では、「オール沖縄」勢力が支援した伊波洋一氏との一騎打ちとなり、約3千票の僅差で惜敗した。
この選挙で、参政党候補は約2万3千票を得た。その後、2025年の参院選で公認候補は約12万票を獲得。着実に支持を拡大している。今回の知事選では、参政党から推薦を受けることは古謝陣営の優先課題だった。参政党のほかには、自民党、日本維新の会、国民民主党、公明党県本部、日本保守党が古謝氏の推薦を決定した。
玉城氏を支援するのは立憲民主党、共産党、社民党、地域政党・社会大衆党などの革新勢力だ。ただ、両陣営ともに政党色を薄めて「県民党」を掲げるなど、強気の発言ができず、支持拡大の決定打に欠けている。
■第3極で票割れも
こうした中、両者の事実上の一騎打ちに割り込んだのは下地氏だ。下地氏は、12日からの当面の運休を発表した久米島オーシャンジェットの代表取締役会長を務めている。22年の知事選にも出馬したが約5万4千票と得票率8%にとどまり、玉城氏の約34万票と佐喜真淳氏(現・宜野湾市長)の約27万5千票に大差をつけられた。
公約に、保育園から大学までの教育費の「完全無償化」などの政策を掲げる。政党の支援を受けないが、約2万の固定票を持っているとされる。
下地氏の出馬によって保守票が割れるとの見方があるが、公開討論会では玉城氏の政策矛盾点を鋭く追及するなど、歯に衣(きぬ)着せぬ発言で存在感を強めている。

■無党派層狙いSNS発信
3陣営とも、無党派層への浸透を図っており、SNSの発信に力を入れている。人柄や生い立ちをアピールする玉城氏は、7月から「ショート動画」の配信を開始した。ところが、ネット上では玉城氏に対する風当たりが強く、ネット活動で苦戦している。
古謝氏は1月に候補者に選定されて以来、若い世代の利用者が多いインスタグラムを中心に選挙活動や4女1男の子育ての様子を自身の言葉でつづっている。30~40代の現役世代の取り込みを図り、フォロワー数を伸ばしている。
他方で、長年にわたり自民党を応援してきた有権者らからは、「辺野古反対のみの争点で投票先を決めるシニア層に対してアプローチが課題」という声も上がっている。
歴代の沖縄県知事8人の中で3期目を務めたのは西銘順治氏(任期1978年~90年)のみで、ほとんどの知事は3選を果たすことができなかった。知名度だけで戦うのは厳しいと玉城陣営も危機感を持つ。無党派層が結果を左右する今回の選挙は、接戦が予想される。







