トップ国内沖縄遺族、校長ら11人を刑事告発 第三者委が安全配慮違反認める

遺族、校長ら11人を刑事告発 第三者委が安全配慮違反認める

 3月16日、名護市辺野古沖の抗議船転覆事故で死亡した同志社国際高校(京都府京田辺市)の2年生だった武石知華さん(17)の遺族は7月13日、同高校の校長、学年主任、引率教員、ヘリ基地反対協議会(以下、反対協)の関係者ら11人に対し、業務上過失致死傷容疑での告訴状を中城海上保安部に提出した。知華さんの両親は29日、記者会見を開き、事故を「『船長一人の事故』で終わらせないために告訴に踏み切った」と経緯を語った。

沖縄・辺野古沖の転覆死亡事故で、調査結果について記者会見する同志社第三者委員会の渡辺徹委員長(奥中央)ら=31日午後、大阪市中央区(時事)
沖縄・辺野古沖の転覆死亡事故で、調査結果について記者会見する同志社第三者委員会の渡辺徹委員長(奥中央)ら=31日午後、大阪市中央区(時事)

 転覆事故後、インターネットの投稿プラットフォーム「note(ノート)」で、事故や知華さんの生涯などについて情報発信を行ってきた知華さんの両親は、報道陣を前に初めて記者会見を開いた。「なぜあんなに元気で、頑張っていた知華が死ななければならなかったのか」と悲痛な心情を吐露した。

父親「明らかな安全管理の欠如あった」

 知華さんの父親は、「文部科学省が学校の安全管理を『著しく不適切』と認定したように、明らかな安全管理の欠如があった。それにもかかわらず、現場の海に誰一人いなかった学校関係者や、現場にいなかったヘリ基地反対協議会の幹部が誰も刑事責任を問われない可能性が出ている」と指摘。「私たちはそれに耐えられない」と刑事告訴に至った理由を説明した。

 「(このままでは)同じ事故が、いつかどこかで繰り返される」と危機感を募らせ、「どれほど危険な相手に生徒を預けて事故が起き生徒が死んでも、学校は刑事責任を問われない」と批判。「学校は、現場に関わらないほど安全である。この知華の事故をそのような前例にするわけにはいかない」と4カ月間の葛藤の末の決断であると述べた。

母親「泣きながら寝ている」

 また、知華さんの母親は事故後から約1カ月半までは「自分が生きているのか分からない中で、周りに言われて食べて、やっと眠っても泣きながら寝ている」ような日々だったと振り返り、刑事告訴については「知華の死に対して責任は取ってもらうべきだ」と考えを述べた。

 真相解明や責任の追及、事故防止策について、「今後、私のような思いをする親御さんが二度と出ないように、変えられるべきものは自分たちで制度を整え、当たり前に守られなければならない子供たちの命を杜撰(ずさん)に扱われることのない未来を残してあげたい」と涙ながらに語った。

 会見に同席した唐澤英城弁護士は、六つのポイント、①修学旅行生が船に乗り海に出るということ②現場海域の危険性③抗議船という点④事故が発生した場所⑤計画の重要性⑥乗せる側の責任と双方の話し合いの欠如―を指摘。

 「過失事件は(刑事責任を問うことが)難しいと言われるが、生徒の〝船長〟である学校も一人の船長なわけであるから、学校側と反対協側が話し合い、計画を立て準備をする責任があり、それが尽くされていればこの事件は起きなかったのではないか」と考えを述べた。

 会見で遺族らは2022年度、23年度、25年度に実施された沖縄研修辺野古コースの動画を公開した。25年度の映像には乗船前の知華さんの姿や、抗議船「不屈」が転覆し、海に投げ出された生徒に大波がかぶさっていく様子や、抗議船「平和丸」の転覆直前、「不屈」が転覆する様子を「平和丸」に乗っていた生徒らが動揺しながら見ている様子が記録されている。

 当時、風速4㍍で波浪注意報が発令されていた。全員が救命胴衣を着けていたが、知華さんの救命胴衣が船体に引っ掛かっていた。亡くなった知華さんのほか、生徒ら計14人が擦り傷や打撲などの怪我(けが)をし、うち1人が指を骨折した。

 8月2日、反対協は「武石知華さまご遺族の記者会見を受けて」とホームページにコメントを掲載。知華さんの遺族を「大切なお子さまを突然奪われたお父さま・お母さま」と表現し、「深い悲しみと苦悩の中から、二度とこのような事故を繰り返さないための真の事故原因究明と安全対策を求めている」ことについて、「たいへん重く受け止めている」と記した。

 知華さんの遺族が提出した刑事告訴は受理され、第11管区海上保安本部が7月25日に同高校を家宅捜索した。

 続いて、学校法人同志社の第三者委員会は31日、事故の調査結果を報告する記者会見を開き、「安全配慮義務違反」と学校側の責任を認めた。

 知華さんを含む生徒51人が「辺野古ボートコース」から別コースに変更希望を出していたことが明らかになった。知華さんを含む37人は抽選に外れて変更が認められなかった。

ルール無視を宣言した金井牧師

 さらに、調査報告書には、25年度沖縄研修旅行開会礼拝で、「不屈」の船長であり転覆事故で死亡した金井創牧師(日本基督教団佐敷教会)が「武力や暴力によらず平和をつくっていく。それを私は現場で心掛けている。基地建設に反対している現場にはここから先は入るなというエリアがある。日米両政府が勝手に決めた線引きだ。(中略)私たちはあえてそこを越えて入っていって抗議します」と制限区域への侵入について生徒に語っていたことが分かった。

 第三者委員会の会見を踏まえ、玉城デニー知事は記者団に対し「二度と悲しい出来事が起こらないように関係機関と連携」し、再発防止に取り組むとコメントした。

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