トップ国内沖縄名護ダンプ事故から2年 抗議活動女性ら3人書類送検

名護ダンプ事故から2年 抗議活動女性ら3人書類送検

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先である名護市で、移設工事に抗議するため車道に出た女(74)を制止しようとした警備員の宇佐美芳和さん=当時(47)=が、土砂搬出用の大型ダンプカーに轢(ひ)かれ死亡した事故から6月28日で2年が経過した。県警は6月5日、女を重過失致死容疑で書類送検。3日後には、県警は事故現場の安和(あわ)桟橋前に横断歩道と歩行者用信号を設置するよう県に通知した。

「沖縄を再び戦場にさせない」と書かれたプラカードなどを持った活動家=5月27日、沖縄県名護市(竹澤亜里紗撮影)
「沖縄を再び戦場にさせない」と書かれたプラカードなどを持った活動家=5月27日、沖縄県名護市(竹澤亜里紗撮影)

安和桟橋の危険な抗議活動、今も

 事故は2024年6月28日、横断歩道のない安和桟橋出入り口道路で発生した。ダンプカーが左折して国道に出ようと発進した際、抗議活動で車道に出た女とそれを制止しようとした警備員の宇佐美さんが車の死角に入りダンプカーに巻き込まれた。女は足を骨折した。宇佐美さんは頭部を激しく損傷し、心肺停止で病院に搬送されたが、後に死亡が確認された。

 事故に遭った女は、事故から1年後に事故現場付近で開かれた追悼・抗議集会で、「亡くなった警備員も国策の犠牲者だ」と沖縄防衛局を非難。さらに25年10月には、女が運転手と運行会社、警備会社を相手取り、損害賠償請求訴訟を起こしていた。

 現場では今も、ダンプカーの進路上に立ちふさがるなど、「牛歩」戦術で往来を妨害する抗議活動が続けられている。5月には「沖縄を再び戦場にさせない」と書かれたプラカードなどを持った活動家の姿が確認された。

 また、歩道を封鎖し、作業者を優先させる「道路交通法違反の現場」と主張する横断幕や、「知事とともに民意と自治の実現を!」と書かれたオール沖縄会議の横断幕が掲示されていた。

安和桟橋入り口周辺に掲げられている横断幕=5月27日、沖縄県名護市(竹澤亜里紗撮影)

遺族は「今も深い悲しみの中」

 事故発生から約2年、県警は事故の真相解明に至っていなかったが、6月に入り急展開した。

 5日、重過失致死容疑で女を書類送検。さらにダンプカーを運転していた男(63)を自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)容疑、誘導に当たっていた警備員の男(27)を業務上過失致死傷容疑で書類送検した。複数のメディアは、警察が女の起訴を求める「厳重処分」の意見を付したと報じた。

 送致を受け玉城デニー知事は記者団の取材に対し、「さまざまな活動においては法令を順守していただいて、安全安心な活動に取り組んでいただきたいと思う」とコメントし、今後の抗議活動への影響については回答を避けた。

 地元新聞の「琉球新報」は書類送検翌日の社説で、「事故発生から送検まで2年を要したのは異例」とした上で、移設工事を急ぐ国の姿勢を問題視し「慎重な原因究明」を求めた。

 一方、警察を通じてコメントを発表した男性の遺族は「私たち遺族は、今も深い悲しみの中にいます。真面目で優しかった夫がどうして命を落とさなければならなかったのか、事件の全貌が明らかになることを心から願っています」と心境を吐露した。

「反基地無罪にお墨付き」島袋県議が知事の責任追及

 6月の県議会一般質問で、島袋大県議(沖縄自民党・無所属の会)が抗議女性の書類送検の経緯を尋ねた。今年1月、前任の小堀龍一郎氏に代わり着任した井澤和生県警本部長は質問に対し、「県警として関係者からの聴取や証拠の精査など、あらゆる観点から捜査を尽くした結果だ」と説明した。

 島袋氏は、抗議活動に対する警告看板が設置後、撤去された事例を挙げた。県の土木建築部北部土木事務所は23年2月17日、本部港旧塩川地区で「第2回塩川デイ」と称される大規模抗議活動が予定されたことから、港湾施設内の安全確保等を目的として看板を設置した。

 看板には「妨害行為は沖縄県港湾管理条例第3条第5号で定める禁止行為に該当し、同条例第33条に基づき過料を処することがある」と書かれていた。しかし、「同年4月24日、県庁1階ロビーに、オール沖縄現地闘争部会の人たちが100名以上来て猛抗議」するなど基地反対派の反発を受け、県がわずか2カ月で看板を撤去したことを問題視した。

 島袋氏は、「看板を取り除いた結果、トラックの前に寝そべる抗議活動者がいた」と指摘し、「県はあの時ダメなものはダメと毅然と対応すべきだった」と強調。「この時の県の対応が、基地反対活動だったら何をしても良いという〝反基地無罪〟のお墨付きを与えた」と糾弾した。

 看板撤去後、安和桟橋のダンプカー事故や辺野古沖転覆事故につながったとし、島袋氏は「起こるべくして起こった人災」と玉城知事や県の責任を厳しく追及。さらに、地元メディアが事故の背景を検証しない報道姿勢を批判した。安和桟橋においては事故の再発防止に一歩前進したが、事故の原因や責任の追及が求められる。

安和桟橋入り口周辺に掲げられている横断幕=5月27日、沖縄県名護市(竹澤亜里紗撮影)
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