トップ国内沖縄県知事選「イデオロギー対決より生活」 沖縄の景気対策を考える会・金城尚亮代表

県知事選「イデオロギー対決より生活」 沖縄の景気対策を考える会・金城尚亮代表

 9月13日に行われる沖縄県知事選挙に向け、各候補の政治活動が活発になっている。2010年ごろから、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設の賛否を問う文脈で県内の選挙が行われてきた。これに対し、沖縄の景気対策を考える会代表の金城尚亮(なおあき)氏(59)は「政治的なイデオロギーよりも県の経済対策が知事選の焦点となるべきだ」と主張。候補者をはじめ、メディアや県民の間で経済問題の議論が深まらないことに懸念を示す。

インタビューに応じる沖縄の景気対策を考える会代表の金城尚亮氏(竹澤安李紗撮影)

 知事選には、現時点で、現職の玉城デニー氏と、元那覇市副市長で新人の古謝(こじゃ)玄太氏が立候補を表明している。事実上の一騎打ちが予想されている。辺野古移設反対を訴える玉城氏は4月25日、出馬表明記者会見で「基地問題は争点になり得る」と述べた。一方、古謝氏は「給付と制度で確実な物価高騰対策を実現する」と政策を示している。

 両候補の出馬会見の映像を見た金城氏は、「地元メディアは辺野古(移設)やイデオロギーの対立を煽(あお)るが、県民の多くは物価高で困窮しているのが現状。両候補が訴えた景気対策の公約は、数値や制度といった具体性を欠き、本気度が全く伝わらない」と語る。

貧困が自殺要因に

 沖縄県の最低賃金は2025年12月1日から1023円に改定された。25年の上げ幅は71円と過去最大となったが、全国で最も低い水準であり、東京都と比較すると203円の開きがある。金城氏は、「経済的に困窮して自殺する人が後を絶たない」と、最低賃金と自殺率の因果関係を指摘する。

 沖縄では17年から21年の5年間で、20歳から39歳の死因1位が自殺となっている。県の「第2次沖縄県自殺総合対策行動計画」によると、経済・生活問題を理由とする自殺者数は15年の46人から22年の65人と増加している。県は自殺のリスク要因に失業や不安定雇用、過重労働や借金、貧困を例に挙げている。

 22年度の1人当たり県民所得は224万9000円と全国最下位水準だが、非正規雇用者比率も43%(17年)と全国で最も高いことも影響している。所得水準が低いことに加え、24年度の沖縄県の高校等進学率(97%)、大学等進学率(46・7%)ともに全国最下位である。県の完全失業率も全国ワーストの3・2%。「こうした貧困を前に、選挙で繰り返される愛だの平和だのといったイデオロギーは耳に入ってこないのが本音だ」と金城氏は語る。

労働者の賃金適正化を

 金城氏が特に問題視しているのは、公共工事に関わる労働者本人が受け取るべき賃金「公共工事設計労務単価」だ。労務単価は13年以降、14年連続で上昇。26年の全国全職種加重平均値は2万5834円と、12年と比較して2倍近くに上がっている。にもかかわらず、「県内全域には行き渡っていない」と指摘する。

 ダンプカー運転手の労働組合や沖縄ダンプ協議会は24年8月、県庁を訪問し、「賃金が県外と比べ1日当たり2万円以上低い」と賃金改定を求めた。沖縄は地理的な特性上、材料の輸送費などコストが他県より多くかかる。金城氏は沖縄の経済活性化のためにも、公共工事や医療・介護・福祉に関わる労働者の賃金の適正化を訴えている。

 金城氏は「知事が県民の声に耳を傾け、適正な予算を国と交渉すべきだ」と強調する。「県民は経済と政治が直結していることを知らないのではないか」と危惧し、これ以上県民生活がイデオロギー選挙の犠牲にならないよう、「県民に景気対策について関心を持ってほしい」と語った。

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