玉城デニー知事(66)の任期満了に伴う沖縄県知事選(9月13日)に向け、3期目を目指す玉城氏と新人で前那覇市副市長の古謝(こじゃ)玄太氏(42)はそれぞれ出馬を表明した。玉城氏と古謝氏による事実上の一騎打ちの構図となる公算が大きい。天王山と位置付けられる知事選が4カ月後に迫っている。

玉城氏の支持母体は、立憲民主党や共産党、社民党が参加する政治勢力「オール沖縄」。地元経済団体や保守政党が古謝氏を支援する。両陣営ともに「県民党」を掲げる中、玉城氏は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設反対を訴える一方、古謝氏は基地問題には国際情勢を基に現実的な安全保障の議論が大事だと強調する。両者に明確な立場の違いが出ている安全保障観が争点となりそうだ。
玉城氏は4月25日、出馬表明記者会見を那覇市内で開いた。会見冒頭に、3月の辺野古沖転覆事故を受け、約15秒の黙祷(もくとう)を捧(ささ)げるという異例の形式を取った。玉城氏は2期8年の成果をアピールし、スローガンに「誰一人取り残さない沖縄らしい優しい社会」「平和で誇りある豊かな沖縄」「新世代さらに希望の先へ」を掲げた。
過去の公約にあった①県経済と県民生活の再生②子供・若者・女性支援政策の充実③辺野古「新基地」建設反対・米軍基地問題―は一定の成果を挙げたと振り返った。また現在、百条委員会が設置され検証が進められている、県のワシントン駐在員の働きについても評価。3期目に向け、県民所得の向上など経済振興や地域医療の充実を推進すると言明した。
選挙戦の争点を問われた玉城氏は「辺野古の基地問題は争点になり得る」と答えた。

一方、3月23日に那覇市内で出馬会見を開いた古謝氏は、知事選の争点は「県民一人一人が決めること」との考えを示した。その上で、一刻も早い普天間飛行場の危険性除去を訴えた。辺野古移設工事を巡る国と県との裁判は終結し、埋め立て作業はほぼ終わっている状況を踏まえ、辺野古移設を容認する立場を示した。
宮古・八重山地域で進む自衛隊の部隊配備などいわゆる「南西シフト」については、玉城氏は反対の立場だが、古謝氏は、航空自衛隊のスクランブル発進や中国海警局の領海侵入の回数増加を踏まえ「理解する立場」と表明。「何でもかんでも受け入れるわけではない」と付け加え、地元住民の理解と必要な抑止力について、国と自治体と議論を進めると説明した。
選挙戦で古謝氏は政党色を薄めたい考えだ。22年の参院選に自民党公認として出馬し、約27万票を得たが3000票近く及ばず惜敗した。同会見で、地元経済界を中心とする保守系の候補者選考委員会から選考されたことや、自民党の党籍を抜いていることにも言及した。自民や公明党、日本維新の会、国民民主党、参政党などの政党に推薦を求めている。幅広い業界や団体との連携を意識し、離島や市町村を訪問する日々の活動をSNSで発信し続けている。
「世代をつなぎ、沖縄を次のステージへ」とスローガンを掲げた古謝氏は、会見で物価高への対応や経済界が進める「ゲートウェイ2050」構想と連携する考えなどを示した。
2期8年の実績をアピールする玉城氏と、若さと行動力を前面に出す古謝氏。両者の勝敗の鍵を握るのは、無党派層の票とみられている。8年前に比べ若年層の支持が伸び悩む玉城氏と、参院選から4年近く経(た)ち全県的な知名度に不安が残る古謝氏は、共に無党派層へのアプローチに力を入れる。





