
辺野古沖転覆事故は、「平和学習の政治性」と「修学旅行の安全管理」という二つの問題が指摘されている。事故を受け沖縄県議会は4月15日、総務企画委員会の閉会中審査を約4時間半にわたって開いた。県議らから抗議船乗船の政治性を問う質疑が相次いだが、県は修学旅行の平和学習を管理する立場にないと回答を避けた。
沖縄自民党などの野党県議らは、抗議船の運航団体「ヘリ基地反対協議会」(以下、反対協)が海上保安庁第11管区のボートと接触事故を起こしたことを県が過去に把握していたにもかかわらず、十分な対策を講じてこなかったと指摘し、「(県の)危機意識のなさが今回の事故を生んだ」と非難した。
学習における政治中立性の担保について4月7日、文科省は学校における校外活動の安全確保の徹底を求める通知を都道府県や各教育委員会に送った。これに対し県の担当者は、修学旅行における学習の「政治的中立性の確保」は学校側の責任であり、県が平和学習を管理する立場にないとの見解を示した。玉城デニー知事も4月10日の記者会見で、安全性と中立性が確保された上で、辺野古の移設工事現場を洋上から見学することは、「沖縄県の平和学習の基本的な考え方と共通している」と述べた。
一方で、県文化観光スポーツ部や観光業界関係者で構成されている修学旅行推進協議会は、事故再発防止の議論で旅行会社側や学校側の安全確認の責任に言及している。
修学旅行の安全管理を巡っては、船の運航団体と学校、旅行会社の3者に不備があったことは明らかだ。海上運送法では旅客定員12人以下の船で人を運送する事業は、有償無償に関係なく内航一般不定期航路事業の登録が必要だが、同志社国際高校の生徒が乗船した「不屈」と「平和丸」の2隻は未登録だった。第11管区は業務上過失往来危険、業務上過失致死傷、海上運送法違反を視野に入れて捜査を進めている。
同校の辺野古研修は、運航団体との個人的なつながりで手配したプログラムだった。修学旅行を手配した旅行会社「東武トップツアーズ」が、反対協のプログラムを認知しており、学校に対し助言できる立場にあった。これについて「旅行全体の行程を管理する立場として適切な助言や注意喚起を行うことができなかった」とおわびの文書を公開している。
最も検証されるべきは、安全確保を欠いた反対協だ。15日の総務企画委員会で宮里洋史県議(沖縄自民党・無所属の会)は、県の教育旅行推進強化事業の一つで、沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)が管理運営する修学旅行専門サイト「おきなわ修学旅行ナビ」の問題点を指摘した。
同サイトの体験学習プログラムに、反対協の東恩納(ひがしおんな)琢磨事務局長(名護市議会議員)が代表を務める団体「じゅごんの里」のマングローブカヤック体験が登録されている。宮里氏から同氏のサイトの公開取り下げを求められた大城清剛県観光政策統括監は「代表が一つの団体に属しているからと言って省くことはできない」と答弁した。
今も公開されている「じゅごんの里」紹介ページを確認すると、東恩納氏が救命胴衣のチャックやバックルを締めていない写真が使用されている。委員会の答弁ではこのページが注目された。救命胴衣の正しい着用が呼び掛けられているにもかかわらず、間違った着用に気付いていないのか、県やOCVBは修正も削除もしていない。県の安全管理意識に疑問の目を向けざるを得ない。
(沖縄平和教育問題取材班)
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