沖縄の研修旅行中、同志社国際高校(京都府京田辺市)の高校2年生を含む2人が3月16日、名護市辺野古沖の船転覆事故で死亡した。その際明らかになったのは、同校の研修旅行が反戦平和に偏っていたという事実だ。沖縄の平和教育の実態を検証する。(沖縄平和教育問題取材班)

<知華は、誰かの主張のために沖縄へ行ったわけではありません。
沖縄戦の歴史や経済、文化を勉強し、メイクや服装に悩み、お友達と沖縄へ3泊4日の旅行に行くことを楽しみにしていた、一人の女の子でした。
沖縄のテレビや新聞では、ほとんどこの事故の報道は無いと聞いています。
もしかすると、知華は抗議活動に参加していたと、まだ思われているかもしれません。
SNSにあまり触れない沖縄の年配の方々にも、知華の本当の姿を知っていただきたく、私たちのnoteのことを伝えていただけると嬉しいです。――>
犠牲になった知華さんの姉は、インターネット投稿サイト「note」に知華さんの沖縄研修に対する思いをこう代弁した。
歴史、経済、文化を勉強しながら沖縄を楽しみたいという知華さんの期待を裏切るかのように、同志社国際高校が3月に実施した研修旅行は反戦平和のイデオロギー色が強いものだった。
沖縄研修の初日、那覇市のキリスト教会で出発式を兼ねた「開会礼拝」が行われた。知華さんの遺族によると、担当したのは、亡くなった船長で日本基督教団所属の佐敷教会(南城市)の金井創(はじめ)牧師だった。昨年にも同氏がメッセージを発しているが、「全体の約3割程度で、基地反対・抗議活動の意義について直接的に述べて」いたという。
3泊4日のプログラムのうち、3日目のプログラムは、生徒がA~Gまである7コースから選ぶもの。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設工事が行われている辺野古沖をはじめ、宜野湾市の佐喜眞美術館、読谷村の自然洞窟・チビチリガマなどがコースに含まれていた。沖縄の自然や歴史・文化の内容を含んでいるものの、左翼的な反戦平和の色合いが濃い。
知華さんの遺族が指摘するように「生徒も先生も自由闊達(かったつ)で、多様な意見を尊重し合う学校」という認識だったが、「沖縄研修に限っては、その本来の姿からは遠く懸け離れている」のはなぜなのか。
日本基督教団系を中心とするミッションスクールは、1980年代ごろから沖縄を平和学習の現場として積極的に活用してきた。沖縄での修学旅行・研修旅行のブームをつくったと言われている。
『沖縄の不都合な真実』(新潮社)の共著者で沖縄の社会問題に詳しい篠原章氏によると、70年ごろの安保闘争や学生運動の時期に、多くの活動家が日本基督教団に入ってきた。学生運動の流れで信仰に近づき、後に牧師となった者も少なくない。左翼的な社会運動や政治活動に熱心な「活動家的」な牧師が多くいるのは、こうした背景からだ。
沖縄での反戦・反基地運動に関わることが、キリスト教的倫理の実践や進歩的で〝良心的〟な平和意識の涵養(かんよう)につながると捉える傾向があると言えよう。
篠原氏は指摘する。
<平和学習が悪だとは断定しないが、安全の確保が前提である。講演や見学が主体の平和学習と抗議活動は根本的に異なる。教育者であればそこまで配慮したプログラムを作成すべきだ。10代の生徒は吸収力が高く、判断力が身に付かないうちに特定の政治的立場に熱中してしまわないか危惧している。
現状では、政治的に中立な視点や、海上保安庁、自衛隊といった国防の役割を含めた教育が不足している。「平和を守るのは活動家なのか、それとも自衛隊なのか」といった問いを含め、生徒が多角的に判断できる材料を提供する必要がある。>






