トップ国内沖縄先住民勧告「想像以上の由々しき事態」 前沖縄県議が国連人権理に反論

先住民勧告「想像以上の由々しき事態」 前沖縄県議が国連人権理に反論

  前沖縄県議の座波(ざは)一(はじめ)氏は3月、スイス・ジュネーブに足を運び、国際連合の人権理事会で先住民勧告の撤回を要求した。2008年から琉球独立派など一部の主張によって、国連が日本政府に対して「沖縄の人々を先住民族として認めて権利を守るべき」という趣旨の勧告が計6回も出されているからだ。座波氏は同勧告を「国連を利用した分断工作であり、沖縄県の議員や県民は警戒し反論しなければならない」と声を上げる。(沖縄支局・竹澤安李紗)

国連人権理事会でスピーチする座波一前沖縄県議=国連WebTVより引用

 座波氏は3月16日、第61回国連人権理事会の「特定の国・地域の人権状況に対する一般討論」に出席し、次のように発言した。

 <私は20年以上、沖縄で政治家を務めてきました。しかし、国連が先住民族勧告を出していることを私は全く知りませんでした。当然ながら、私と同じように沖縄の人々もこのことを全く知りませんでした。

 沖縄の人の99%は、自分たちを誇り高き日本人であると認識しています。私はこの理事会に対し、誰がどのような目的でこのようなことを行っているのかを調査するよう求めます>

 座波氏は帰国後の記者会見で、「県議会や県内で沖縄の人が先住民族かどうかという議論もなかった」と、妥当性を欠いた国連勧告の経緯を説明。「国連の場では想像以上の由々しき事態が起きていた」と懸念を示した。

 座波氏が指摘したのは、18日の国連人権理で、香港の「国際プロボノ法的サービス協会(IPS)」が〝琉球諸島〟の先住民の窮状を訴えた演説だ。

 IPSは、団体の立場を、植民地と土地剥奪による継続的な影響に苦しむ人々や先住民族コミュニテイーを代表していると説明。「植民地的状況」の例としてスリランカのタミル・コミュニテイーとともに、「米国により軍事化を強いられている琉球諸島先住民」を挙げた。

先住民族勧告反対の記者会見をした(右から)仲村覚氏、座波一氏、砂川竜一氏=3月4日、沖縄県庁
先住民族勧告反対の記者会見をした(右から)仲村覚氏、座波一氏、砂川竜一氏=3月4日、沖縄県庁

  「狙いは在沖米軍基地撤退」仲村氏

 国連の先住民勧告に警鐘を鳴らしてきた一般社団法人日本沖縄政策研究フォーラム理事長の仲村覚(さとる)氏は記者会見で、香港IPSの発言を「国連の手続きを利用して日本から沖縄の主権を剥奪するための論理」と分析した上で、「沖縄から在日米軍を撤退させようとする安全保障上の重大なリスクがある」と指摘した。

 国連の手続きとは、国連の脱植民地化特別委員会(C24)による「非自治地域」のリスト入りだ。非自治地域は国連が選出した、地域住民により完全な自治がされていない、いわゆる戦後に独立国になっていない旧植民地の地域で、グアムやニューカレドニアが該当する。

 沖縄の人々を〝先住民〟と認定し、「日本政府や在日米軍に虐げられている先住民」を守るため、沖縄が非自治地域に認定されれば、先住民の「自己決定権」によって米軍が撤退しなければならない状況になるという。2007年に国連総会で採択された「先住民族の権利に関する国連宣言(UNDRIP)」第30条には「先住民族の土地または領域で軍事活動は行われない」と規定されている。

 25年10月18日、中国の孫磊(スン・レイ)国連次席大使が国連総会第3委員会で、日本に対し「沖縄人などの先住民族に対する偏見と差別をやめるよう求める」と発言した。中国政府代表が公式の場で沖縄の人々を「先住民族」と発言したのは初めてで、仲村氏は警戒を強める必要があると発信している。

 仲村氏は国連人権理で、「沖縄の人々を先住民族と定義することは重大な事実誤認」と反論し、「第2次世界大戦後、人口の大多数である22万人分の署名を集め、自己決定によって日本人としてのアイデンティティーを確認した」と訴えた。

講演する宜保安孝・豊見城市議会議員=4月5日、沖縄県浦添市

 県内では石垣市や豊見城(とみぐすく)市、糸満市の議会が、「先住民族」の呼称が県民の実情と整合しないものと抗議する趣旨の決議などを可決している。

 「沖縄の歴史・文化を歪める」宜保市議

 4月5日に行われた仲村氏の団体主催の講演会には、2016年のジュネーブ国連人権理事会で勧告撤回を求めた宜保安孝・豊見城市議が登壇。国連勧告に対し、「沖縄の歴史文化そして何より県民のアイデンティティーを著しく歪めるもので、断じて容認できない」と危機感を共有した。

 1日の参院沖縄・北方問題及び地方に関する特別委員会では、梅村みずほ議員(参政党)が質疑に立ち、国連の先住民勧告問題を取り上げた。国連の女性差別撤廃委員会が24年10月に皇室典範の改正を勧告した際、外務省が同委への拠出金使途から除外するという厳しい対抗措置を取ったことを例に挙げた。梅村議員は沖縄の先住民勧告にも「同様の対応をすべき」と求めた。

 答弁した大西洋平外務政務官は「日本政府は沖縄県出身者が先住民族であると認識していない。実際に沖縄県内の複数の市議会で先住民の認識が誤りであるという抗議の声が上がっている」とした上で、外務省が拠出金使途から除外する対応は検討していないが、「国際社会でわが国の考え方を引き続きしっかりと検討していく考えだ」と述べた。

 政府が毅然と対応すべきと主張した梅村議員に対し、黄川田仁志・内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)は「個別のコメントは差し控えるが、沖縄県出身者が先住民族であると認識していない」と消極的な答弁にとどまった。

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