トップ国内沖縄「株式会社が唯一の選択肢」-ワシントン事務所問題 駐在員たちは違法性認識

「株式会社が唯一の選択肢」-ワシントン事務所問題 駐在員たちは違法性認識

 沖縄県議会のワシントン駐在問題の調査特別委員会(百条委員会)が7日と13日に開かれ、同事務所の設立に関わった米国弁護士に対する聞き取りと玉城デニー知事の証人尋問が行われた。同事務所が営業実態のない株式会社として設立されたことについて、弁護士は「株式会社が唯一の選択肢」と説明。玉城氏は反省の意を示した上で、駐在再開へ意欲を示した。(沖縄支局・竹澤安李紗)

ワシントン事務所が入っていた建物=2月26日、米国ワシントン(川瀬裕也撮影)
ワシントン事務所が入っていた建物=2月26日、米国ワシントン(川瀬裕也撮影)

 県のワシントン事務所は2015年4月、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対するロビー活動のために設立され、10年間で約10億円の県予算が投入された。しかし、同事務所は設立時の手続き不備など、問題が次々と明らかになり、昨年3月に閉鎖された。

 7日、百条委の意見聴取に参考人のダニエル・クラカワー氏がオンラインで応じた。クラカワー氏は県ワシントン事務所設立に関わった米国の法律事務所の弁護士だ。オンライン形式での参考人招致は県議会で初めて。

 同委員からは主に、ワシントン事務所の法人形態の選定に至る経緯や就労ビザ、外国代理人登録法資格(FARA登録)、株券について質疑が行われた。クラカワー氏は、設立が「10年前の出来事のため資料が手元にない」ことや、関係者とのやりとりが「記憶にない」と回答を避ける場面もあった。

 宮里洋史議員(沖縄自民党・無所属の会)の質問に対し、クラカワー氏は「ワシントン事務所は米国で何をしたいかを明確にして、ビザの申請や税制面を考慮すると株式会社が唯一の選択肢だった」と当時のやりとりを説明。過去の駐在員らが株式会社と認識していたかについて、「本人たちは認識していただろう」と答えた。言い換えれば、県から派遣された駐在員たちは、ワシントン事務所が国内法に違反していると気付く機会は何度もあったということだ。

 また、法律事務所と県の関係についてクラカワー氏は、初代所長の平安山(へんざん)英雄氏と初代副所長の山里永悟氏が2015年4月17日に直接、自身の事務所と業務委託契約を行ったと答えた。これは県の報告書とは異なる。県は、県が委託した米国コンサルタント会社「ワシントンコア社」が米国総合法律事務所に再委託したと説明している。この齟齬(そご)については今後、百条委が契約書を確認し事実関係を照合するとした。

 クラカワー氏への事前質問で、県が政治活動をするために営業実態のない株式会社として事業者登録していた「DCオフィス社の設立は必須要件か」という問いに対しては、「県は他の方法―例えば日本の団体を通じて、また県が直接的に米国で政治活動―ができたはず」と回答していた。上原快佐議員(てぃーだ平和ネット)から、「なぜその方法を提案しなかったか」と問われたクラカワー氏は、外交分野に関わる質問として回答を濁した。

 平安山氏は25年2月の百条委で、同事務所が「株式会社との認識はなく特殊法人」として捉えていたと明らかにしている。

 13日の玉城氏の証人尋問で、高橋真議員(公明党)は20年11月に当時の担当班長が、株式会社の実態に気付き「黒に近いグレー」と危機感を示すメモを作成していたことに言及した。同班長は上司に報告をしていたが、議会対応の多忙さなどを理由に違法性を指摘したメモは「4年間握りつぶされた」と高橋氏は指摘。知事に報告が届かなかったことが「県庁内部のガバナンスが完全に崩壊していることの何よりの証明」であり、「重過失の自覚はあるか」と質問すると、玉城氏は「重過失かどうかについては意見を控えたい」と述べた。

 高橋氏はさらに、「現場の職員だけを処分して、当時事業を指揮した幹部たちを無傷で済ませるようなトカゲのしっぽ切りのような形では県民は納得するとは思えない」と責任を追及。しかし、玉城氏は自らの責任について「議会に対して私の報酬の減額条例を提出した」と述べ、引責辞任には言及しなかった。

 複数の議員からこれらの問題の原因を問われると、県が25年11月にまとめた報告書で結論付けられた「事前の検討不足、関係者間のコミュニケーション不足、関係法令の理解不足、組織体制の脆弱(ぜいじゃく)さ」というフレーズを、玉城氏は質疑中7回にわたって繰り返した。

 玉城氏は、「より透明性を持って公務の信頼を伴う形での活動拠点を検討」したいと、駐在再開に意欲を示した。

 証人尋問後、今後の百条委の運営についての議論で、執行部から提出された資料に黒塗りが多いことを指摘され、再開示要請を行うとした。設立時の経緯の究明には至らなかったことから、当初予定されていた年度内の報告書提出は困難であるとして、6月議会での報告を目途(めど)に調整する方針をまとめた。

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