2月10日から始まった沖縄県議会定例会は、2025年3月に閉鎖した県のワシントン事務所を巡る問題が争点となり、玉城デニー県政は連日、野党議員から徹底的な追及を受けた。最大野党会派の沖縄自民党・無所属の会の議員らは、知事の責任を明確にするよう求めている。(沖縄支局・竹澤安李紗)

米国の首都ワシントンにある、かつてワシントン事務所が入っていた建物は、地下鉄駅に直結し、ホワイトハウスまで徒歩15分の超好立地に立つ。隣には老舗の四つ星ホテル「ザ・メイフラワー・ホテル」が立ち並ぶほどの一等地だ。
県のワシントン事務所は、故翁長雄志前知事が15年に設置した。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画阻止に反対するロビー活動の拠点だった。共産党をはじめ、社民党、沖縄社会大衆党など「オール沖縄」と共闘した翁長氏の肝煎りの外交舞台だ。
米軍基地問題を米国内の有識者やメディアに直接訴え、米国の政策決定に影響を与えることを目的としていた。知事訪米時の手続き業務なども担当し、「基地のない沖縄」を目指すと辺野古移設反対を掲げ出馬した玉城氏も、当選後に同事務所を活用していた。
県の成果報告書(24年6月)では、設置から9年間で「米政府や議会関係者らとの面談を計5778人」と行ったことや、「米国の各種情報を年100件以上収集」、「連邦議会調査局(CRS)報告書に沖縄の基地問題に関する正確な情報が記載された」と活動実績を誇っていた。
しかし、24年末に営業実態のない株式会社として運営されていたことが発覚し、25年3月に同事務所の閉鎖が決定した。県は25年11月、92ページの報告書をまとめ、事務手続きなどに瑕疵(かし)があったと認めた。関与した現職職員6人には文書や口頭の訓告処分が下された。
事務所には10年間で10億以上の県民の税金が投入されてきた。現在も調査特別委員会(百条委員会)が続き、事務所設置に至る経緯や責任の所在の不明確さが問われている。
2月の県議会でも、同事務所問題について野党議員から厳しく追及され、県の執行部は対応に追われている。「県の子会社」とする組織図を知事の承認なしに提出されていたことや、県が保有しているはずのDCオフィス社の株式(1000株)が領収書も契約書もなく長年、公有財産台帳に登録されていなかったことが指摘された。

25日、西銘啓史郎県議(自民・無所属)の一般質問では、議会にワシントン駐在関連資料が黒塗りで提出されたことを巡って、約1時間議会が空転する事態となった。中川京貴議長は執行部を厳重注意したが、沖縄の自民党の議員は県の執行部に「誠意が感じられない」と指摘した。執行部の論点がずれた答弁や調査不足に対し、議場では批判のヤジが飛んだ。
議会開始前には、同事務所設立当時、担当統括官で百条委から責任を問われていた池田竹州(たけくに)副知事が9日、一身上の都合で辞表を提出し、11日に退任した。県知事も責任を取るべきだという声が野党から上がっている。同事務所問題を巡り新たな疑惑が次々と浮上しているが、県は拠点の再開を検討している。「沖縄の地元メディアがこうした問題を報じない」と嘆く議員もいる。
そもそも安全保障外交は国家の専管事項で、公平・中立であるべき地方公共団体が外交舞台で政治的活動を行うのは適切ではないと指摘されている。秋に知事選を控え、3期目の出馬を予定している玉城氏にとって、ワシントン事務所問題の対応が懸念材料だ。






