
1月中旬、同月26日に「ムーチー」を売り出すというスーパーの折り込みチラシを見つけた。ムーチーとは沖縄の方言で、鬼餅、餅という意味だ。沖縄では毎年旧暦の12月8日に、月桃(サンニン)やクバの葉で包んだ餅を作って食べる風習がある。
もともとは、鬼さえも退治できる力持ちの餅という伝説から厄払いの意味があったが、今では子供の健やかな成長や無病息災を願う行事に変化していった。
26日にそのスーパーに足を運んでみると、一角にムーチーを作るための粉や、すでに出来上がったパック入りの餅が積み上げられていた。味は紅芋、黒糖、よもぎなど。夕方、主婦やシニア世代の女性たちが次々と買い物かごに入れていて、行事を大切にする人が多いことを実感した。ムーチーは、台所の神様「火の神(ヒヌカン)」や仏壇にお供えしたり、軒下に子供の年齢分吊(つる)したりして食べるそうだ。
筆者もパックを買った。餅にしっかりとくっついた月桃の葉を剥がすのに苦労した。月桃の葉の香りが移るようにするためだろうか。いざ食べてみると予想より優しい味だった。手軽に沖縄の文化を楽しめるのでありがたい。県内のコンビニでも期間限定でムーチーが販売されていた。
この時期、20度を下回る寒さになり寒い時で10度前後となる。これを方言で「ムーチービーサ(ムーチーの頃の寒さ)」という。県民は寒くなると「ムーチーを思い出す」とも言われている。
夕方のニュースを見ていると、地元テレビ局で、ムーチーを手作りする家族が紹介されていた。3世代の家庭で、祖母が母と一緒に子供のために餅を作り、子供が笑顔で食べている様子がほほ笑ましい。家族の絆が強い沖縄では、家庭の中で受け継がれ、伝統文化が残っていくのだろう。(A)






