トップ国内沖縄【NEWSクローズ・アップ】沖縄・名護市長選 辺野古移設、争点にならず 基地巡り中道の足並みに乱れ

【NEWSクローズ・アップ】沖縄・名護市長選 辺野古移設、争点にならず 基地巡り中道の足並みに乱れ

当選した渡具知武豊氏(手前左)と握手する金城泰邦氏=25日、沖縄県名護市

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設が焦点となった任期満了に伴う同市長選が25日に行われ、移設容認派が推す現職の渡具知(とぐち)武豊氏(64)が3選を果たした。公明党所属の金城泰邦衆院議員(当時)が渡具知氏の応援に入ったことで、衆院選に合わせ立憲民主党と公明が合流した新党「中道改革連合」の基地政策のぶれが明るみに出た。(沖縄支局・竹澤安李紗)

 名護市長選は、自民、日本維新の会、国民民主、公明各党の推薦を受けた現職の渡具知氏と、立民、共産、社民各党が推薦する元市議の翁長(おなが)久美子氏(69)による事実上の一騎打ちとなった。国政で自公が連立解消した後、自公が本格的に協力した地方選挙として注目を集めた。

 立民と公明が結成した中道の辺野古移設の見解を巡り「二転三転。移設中止を掲げてきた立民と、自公連立政権で移設を推進する立場だった公明との間で意見がまとまらず、足並みが乱れた。

 米軍基地政策を巡る中道の混乱ぶりが連日県内でも大きく報じられた。移設反対派からは、「名護で市長選挙期間だということを知らないのか」と中道執行部を非難する声もあった。最終的に野田佳彦代表は「選挙後に結論を出す」と発言した。

 中道は27日公示の衆院選に、元立民の屋良朝博(やら ともひろ)氏(沖縄3区=沖縄市、名護市など)と元公明の金城氏(比例九州ブロック)を沖縄から擁立している。名護市長選では、屋良氏は翁長氏を、金城氏は渡具知氏を応援し、対応が分かれた。金城氏は25日、渡具知氏の選挙事務所で当確が報じられた後に「おめでとうございます」とあいさつすると、太鼓と指笛が鳴り響いた。

 市長選の熱が冷めやらぬ中、公明党沖縄県本部は26日、衆院選で中道の候補者を支援する方針を示した。今度は一転して、「オール沖縄」が支援する屋良氏の応援を呼び掛けられ、名護市の公明支持者は対応の切り替えに苦慮している。

 名護市長選で辺野古移設の是非が争点となったのは8回目。市民は「暮らしの課題の優先を望んでいる」という民意を示した形で、衆院選沖縄3区の行方を占うとみられる。

 市長選では、渡具知氏と翁長氏ともに物価高対策や子育て支援策を前面に打ち出していた。渡具知氏は公約で、自身が実現した「子供医療費・学校給食費・保育料」の無償化を継続することに加え、全市民に商品券を配布すると訴えた。「市政のアップデート」を掲げた翁長氏は、三つの無償化に加え、保育所へのおむつ支給や全世帯水道料金の免除などを示した。

 政策の財源について意見が分かれた。渡具知氏は国からの米軍再編交付金を財源として活用してきた。これに対し、翁長氏は同交付金に「依存した」市政と批判した。

 得票数は渡具知氏が2万9票、翁長氏が1万543票とダブルスコアの差をつけた。過去2回の、名護市長選における渡具知氏と移設反対派候補との票差は、2018年が約3500票、22年が約5000票と競り合う結果だった。

 NHKの出口調査によると、渡具知氏は30代の70%、40代の60%から支持を集めた。市長に最も期待する政策について、「景気・物価高対策」が42%、「教育・子育て支援」が26%と、現役・子育て世代に、渡具知氏の訴えが響いた。他方で、市長に最も期待する政策で「基地問題への対応」と答えた人は12%にとどまった。辺野古移設工事の中止を訴えていた翁長氏の声は市民に届かなかった。

 渡具知氏は今回を含めた3度の選挙戦で、辺野古移設の争点化を避け、賛否を明らかにしていない。今回も「法的な手続きに基づいて実施されている事業に対して、私が何かを発信したところで工事に与える影響はない」と表明していた。当選を受けて「市民が工事に複雑な感情があることは十二分に理解している」と示した上で、「市長がなすべきことは市民の生活環境を守ることに尽きる」と述べた。

 移設反対を旗印にする「オール沖縄」勢力としては、辺野古が所在する名護市長の座を奪還したかった。翁長氏の応援に入った玉城デニー知事は結果を受け、「残念」と肩を落とした。地元有力紙の「琉球新報」が26日の社説で「オール沖縄勢力は崩壊寸前と言っていいだろう」と分析したように、首長選では連敗が続き、勢力の後退が止まらない。

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