
名護市長選は保守系支援
立憲民主党と公明党が16日、新党「中道改革連合」を結成したことを受け、自民党と公明党の協力関係が特に強かった沖縄では選挙対応に波紋が広がっている。近年、県内選挙の争点となっている米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に対して意見が分かれていた立民、公明両党だったが、立民の安住淳幹事長は移設容認と取れる発言をするなど協調姿勢を示した。沖縄では自公の信頼関係が強かっただけに、公明党沖縄県本部は自民と立民との間で板挟みに遭っている。(沖縄支局・竹澤安李紗)
沖縄の公明党は約8万票を持つとされ、全国の中でも創価学会の勢力が強い地域だ。自公連立政権は1999年10月から民主党政権を除き、2025年10月まで26年間続いたが、自公協力は沖縄から始まっていた。1998年の沖縄市長選や県知事選で、公明党は当時の新川秀清(あらかわしゅうせい)市政や大田昌秀県政への不満を理由に、革新側から離脱。その結果、保守系の仲宗根正和沖縄市長、稲嶺恵一県知事誕生につながった。連立政権誕生以降、国政と地方共に協力関係を続けてきた。
特に那覇市を中心とする沖縄1区は、自公協力の象徴区だ。2024年の衆院選で共産党の赤嶺政賢氏が自民党の国場幸之助氏に約7700票差をつけ4万9838票を得て当選した。元職で無所属の下地幹郎氏との三つどもえの戦いが過去4回続いたが、同年は参政党候補者も出馬し、保守票が分裂した。
今年2月8日投開票の衆院選では、玉城デニー知事を支えるオール沖縄陣営が赤嶺氏を支援することで一致した。赤嶺氏と国場氏による事実上の一騎打ちになることが予想されるが、新党の動きは、公明の推薦を受けていた国場氏にとっては痛手だ。
辺野古が所在する3区では、立民の屋良朝博衆院議員が1月18日、自身のX(旧ツイッター)で新党に合流することを表明した。普天間飛行場がある2区では、社民党を昨年離党した無所属の新垣(あらかき)邦男衆院議員が新党から出馬する意向を示している。
一方、公明党県本部は17日、金城泰邦衆院議員の新党からの立候補を発表。九州比例で3度目の当選を目指す。
公明党本部は小選挙区で候補者を擁立しないと発表し、小選挙区では立民の候補者を支援するよう方針が出されている。しかし、創価学会側からは「これまで立憲と対立した〝しこり〟があり、突然手のひらを返して立民候補を応援しろと言われても厳しい」(関係者)という声も上がっている。公明県本部は、沖縄1区から4区についてはこれまでの自公協力の経緯を踏まえて結論を急がず、対応を巡って協議を続けている段階だ。「実質、自主投票になるのではないか」との見方もある。
創価学会員は、長年信頼関係を築いてきた自民党か、中道路線の新党か、新たな政治選択を迫られることとなった。公明党は、連立与党として辺野古移設を推進する自民と協力してきた。一方、公明県本部は辺野古移設反対の立場を崩しておらず、党本部とのねじれが生じている。辺野古移設の是非が投票の判断材料になりそうだ。

19日午前、中道改革連合が開いた綱領発表会見で、立憲民主党の安住幹事長は辺野古移設の立場を問われ、「沖縄の問題は立憲民主と公明でスタンスの違いがあることは事実」と回答。与党だった公明党と野党・立憲民主党の立場では意見が分かれていたが、「いざ政権を担うとなれば(現在の建設工事を)ストップすることは現実的ではない」との見解を示した。
安住氏は「そうは言っても沖縄の皆さんの戦争時の大変な経験と今の心情を察すれば、(移設に推進か反対かは)簡単な話ではない」と続け、「県民の心情を聞き、思いを大事にしながら安全保障との整合性をつくっていくことが重要だ」と付け加えた。20日には、記者団に「中道として、移設に関する整理はまだできていない」と答え、見解を修正した。
19日午後の同党基本政策発表会見では、沖縄メディアから安住氏の発言を問いただされる場面もあった。公明党の岡本三成政調会長は、「辺野古移設は、基本政策で発表したように、外交においては日米同盟が基軸という安全保障のスタンスに変わりはない」と強調した。
岡本氏は続けて「地元との丁寧な対話、懸念の払拭に最大限努めていく」と、安住氏と同様の考えを示した。現状について「新党中道としてそれぞれの党県本部と懇談していない」と説明し、「衆議院でまず新党中道になり、公明党と立憲民主党の県本部は存続する」と、各党の県本部の立場を尊重する姿勢だ。
辺野古の現場では今まさに選挙戦が繰り広げられている。18日公示、25日投開票の名護市長選挙では、辺野古移設反対を訴える「オール沖縄」勢力から、立民、共産、社民が推薦する新人で元市議の翁長久美子氏(69)と、自民、日本維新の会、国民民主党、公明が推薦する現職の渡具知武豊氏(64)ら3人が立候補している。3期目を目指す渡具知氏の応援に駆け付けた金城衆院議員(公明)は、8年前の選挙を振り返り、「長い間、基地負担だけが議論されてきたが、名護市民の暮らしを訴える渡具知氏を推薦した」とし、「政治の世界はさまざま変化はあるが、渡具知市政は変える必要は全くありません」と訴え、全力で応援することを表明した。






