トップ国内沖縄沖縄の未来決める「選択の年」 天王山の知事選 対立候補に5人

沖縄の未来決める「選択の年」 天王山の知事選 対立候補に5人

南城市長選挙で最後の訴えをした座波一氏(中央奥)=25年12月20日、南城市の稲嶺十字路
南城市長選挙で最後の訴えをした座波一氏(中央奥)=25年12月20日、南城市の稲嶺十字路

 2026年の沖縄は未来を決める「選択の年」だ。1月の名護市長選に始まり、秋の那覇市長選、県知事選、統一地方選と大型選挙が続く。玉城デニー知事は3期目に前向きな姿勢を示す中、1月中には対立候補も出そろう見込みだ。知事選の争点に24年に県経済界が掲げた「GW(ゲートウェイ)2050構想」が浮上している。沖縄は子供の貧困から抜け出し、持続可能な経済県となり得るかどうかの分かれ道に立っている。(沖縄支局・竹澤安李紗、写真も)

 知事選の前哨戦の一つ、昨年12月の南城市長選は無所属新人の前県議・大城憲幸氏(57)が1万1690票で初当選を果たした。自民党、公明党、国民民主党が推薦した新人で前県議の座波一氏(66)は3431票差で敗れた。大城氏の陣営には玉城デニー知事が足を運び「ため書き」を送ったが、辺野古移設への反対を掲げる「オール沖縄」の支援を受けなかった。

 それまでは、無所属候補が当選した糸満市を除き、県内10市の市長選全てで自民と公明が推薦した候補者が当選してきた。保守系の勢力は知事選に弾みをつけるため、南城市を何としても取りたいと意気込んだが、有権者に「前市政の継続」と受け止められた上、保守支持層の一部が離反した。

 それでも、オール沖縄勢力の市長は県内全11市でゼロに変わりはない。1月25日投開票の名護市長選挙でオール沖縄は奪還を目指す。名護市は本島北部に位置し、北部最多の人口約6・5万人を抱える中核都市だ。市東部の辺野古は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先。また、昨年に誕生した大型テーマパーク「ジャングリア沖縄」の敷地の一部であることから、注目が集まる。

 名護市長選は2期目の現職、渡具知武豊氏(64、自民、公明推薦)と、無所属新人で前市議の翁長久美子氏(69、立民、共産、社民、社大推薦)、無所属新人の伊波勝也氏(66)が立候補を表明している。事実上、保守対オール沖縄の一騎打ちの構図だ。

 現職の渡具知氏は一般廃棄物処理施設の供用開始など公約の8割を達成したとSNSでアピール。公約にふるさと納税の増額や宿泊税の導入を掲げた。一方、翁長氏は辺野古移設反対を最大の公約に掲げ、子育て支援や高齢者支援の強化などの政策を示し、市政奪還を訴える。

 玉城知事は12月26日の記者会見で名護市長選の対応について「現市長の辺野古移設への立場を明らかにしない姿勢はどうなのかと問う市民の声も届いている」と述べ、翁長氏を支持することを明らかにした。

 沖縄の選挙における「天王山」である知事選も動きだしている。2期目の玉城知事は25年末の報道各社インタビューで出馬の明言は避けたが「(那覇と名護を結ぶ)鉄軌道が実現するまではやめられない」と3期目に意欲を示した。1月4日には、知事選出馬を要請する書を沖縄市議団から受け取った。

 一方、保守系の経済界関係者でつくる候補者選考委員会は目下、候補の選定作業を進めている。候補には那覇副市長の古謝玄太氏(42)を軸に、石垣市長の中山義隆氏(58)、浦添市長の松本哲治氏(58)、県議会議長の中川京貴氏(63)、前県議会議長の赤嶺昇氏(58)の5人が挙がった。1月11日に面接を行い、候補を1人に決める予定だ。

知事会見に臨む玉城デニー知事=25年12月26日、沖縄県庁
知事会見に臨む玉城デニー知事=25年12月26日、沖縄県庁

 1月中に両陣営の候補が出そろう形となるが、争点の一つは25年に経済界が主導して始動した「GW2050構想」だ。同構想は、返還が予定されている米軍基地跡地の開発を行い、国際競争力の強化と持続的な成長を図ろうとする取り組みだ。民間主体の自立した経済実現を目指す。政府が26年度の予算編成に向けて発表した「骨太方針2025」にも同構想推進が明記され、12月26日に閣議決定された沖縄関係予算案にも盛り込まれた。

 24年度に県が実施した県民意識調査では、県政の重点を置いて取り組むべきこととして「子供の貧困対策の推進」が41・8%と突出して高い。また、県民の経済格差について10年前の沖縄と比べて「格差は広がったと思う」と回答した割合が36・2%と最も高かった。沖縄の子供の相対的貧困率は全国平均の約2・2倍で、親の貧困に伴う学習の格差も生まれている。負のスパイラルから抜け出すためにも、雇用の創出が求められる。名目県内総生産を24年比で約2倍化することと、持続可能な経済県を目指す「GW2050構想」に県民の意識が追い付くことができるかがポイントとなろう。

 自民党県連は、経済界が結束して稲嶺恵一、仲井真弘多(ひろかず)両知事を誕生させた当時の構図が再現されることを望み、水面下で動き始めている。その上で、25年の参院選で8万票(比例)獲得した参政党をはじめ、国政で連立政権を離脱した公明党や、存在感を増す国民民主党との連携強化にも注力する。保守派政党関係者は「高市人気は沖縄にも影響するかもしれない」と期待感を示した。

 オール沖縄も、2015年の結成当初のような連帯感はなく、首長選の敗北が続き苦境にある。オール沖縄の支援を受ける玉城知事は、ワシントン事務所問題を巡り百条委員会で責任追及されている。また、前回、前々回の選挙で公約に掲げた辺野古移設阻止は望めない。

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