
中国メディアによる日本批判が相次ぐ中、「琉球」をターゲットにした情報発信が激化している。台湾有事を巡る高市早苗首相の発言への対抗策として、中国が、沖縄について「日本ではない」と主張し、分断工作を図る狙いがあるとみられる。そのような中で、尖閣諸島を巡る玉城デニー県知事の発言が、「国際社会に誤ったメッセージを伝えかねない」として物議を醸している。
(沖縄支局・川瀬裕也)
今月に入り、中国共産党傘下のメディアが一斉に琉球をテーマに独自の主張を発信し始めた。党の英字機関紙「チャイナ・デイリー」は15日付で、自らを日本人ではなく「琉球人」だと語るハワイ在住の活動家ロバート・カジワラ氏にインタビューする記事を掲載し、「琉球は日本ではない」と見出しを付けた。
環球時報系の「グローバル・タイムズ」でも19日、「なぜ『琉球研究』が必要か」と題した論考を掲載し、琉球を巡る歴史認識を「日本が一方的に語ってきた物語」だとして見直すべきとの主張を展開している。
これらの動きに先立ち、10月に開かれた国連総会第3委員会で、中国の国連次席大使が日本に対し「沖縄の人々ら先住民族に対する偏見と差別をやめよ」などと発言をしている。
この問題に対し、沖縄の地方議員らで構成する「沖縄の人々を先住民族とする国連勧告の撤回を実現させる沖縄地方議員連盟」(会長=仲間信之・宜野座村議)は、玉城知事に対し、公式に明確な抗議声明を出すよう要請を行った。
同国連勧告の問題について詳しい日本沖縄政策研究フォーラムの仲村覚理事長は、「中国が沖縄の主権は日本にないという『琉球主権未定論』を公式の場で初めて言い始めたのは、危険な兆候だ」と危機感を示している。
そのような中で、10月24日の定例会見における玉城氏の問題発言が飛び出した。中国海警局の艦船が領海侵入を繰り返す尖閣諸島周辺海域で操業する石垣島の漁師に対して、「ぜひ安全安心な領域で漁を営まれることの方を選択された方がよろしいのではないか、と個人的には思う」と述べた。
これに対し、「日本固有の領土である尖閣周辺の出漁自粛を求めたとも受け取られかねない発言」だとして、一部地元紙などが報じると、SNSなどでは「国際社会に誤ったメッセージを伝えかねない」「県民をないがしろにし、中国を擁護するような発言ではないか」などの批判コメントが殺到した。
玉城氏は過去にも、尖閣諸島で中国海警が沖縄の漁船を追い回したことについて、「中国公船がパトロールしているので、故意に刺激するようなことは控えなければならない」と発言し、批判を受けて発言を撤回した経緯がある。中国が一方的に自国の領土だと主張する尖閣諸島を行政区に収める知事の発言として、軽率だとの批判は免れない。





