トップ国内沖縄名護ダンプ事故 抗議女性が提訴 運転手や警備会社らに損害賠償請求 「強引な正当化」との批判

名護ダンプ事故 抗議女性が提訴 運転手や警備会社らに損害賠償請求 「強引な正当化」との批判

<<安和桟橋付近に立つ警備員と抗議活動する活動家ら>>=6月、沖縄県名護市(森啓造撮影)
<<安和桟橋付近に立つ警備員と抗議活動する活動家ら>>=6月、沖縄県名護市(森啓造撮影)

 沖縄県名護市で、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事に抗議するため車道に出ていた女性と、交通誘導中だった警備員の男性がダンプカーに轢(ひ)かれ、うち男性が死亡した事故を巡り、被害女性がこのほど、運転手と運行会社、警備会社を相手取り、損害賠償請求訴訟を起こした。女性の弁護士は「(事故は)沖縄防衛局による強引な工事に起因する」などと主張している。一方で、有識者からは「反省なき強引な正当化だ」との批判の声も聞かれる。

(沖縄支局・川瀬裕也)

 事故は2024年6月28日、名護市安和の桟橋出入り口で発生した。土砂搬出用の大型ダンプカーが左折して国道に出ようとした際、抗議活動で車道に出ていた70代女性が、現場で警備に当たっていた警備員の宇佐美芳和さん=当時(47)=と共にダンプカーに巻き込まれた。女性は足の骨を折る重傷を負い、宇佐美さんは頭部を激しく損傷し心肺停止で病院に搬送されたが、後に死亡が確認された。

 当時、現場周辺では埋め立て土砂を搬出する車両が頻繁に出入りし、市民団体による抗議活動が連日行われていた。抗議者らは、ダンプの出入り口付近をゆっくり歩いて通行を妨げる、いわゆる「牛歩」戦術を展開。現場には歩道と車道の境界を示す柵などがなく、車両と人が入り交じる危険な状況だったとされる。

 そのような中で今月8日、女性は那覇地裁に損害賠償を求め提訴した。訴状によると、ダンプカー運転手が安全確認を怠り、一時停止義務を果たさなかったこと、また警備会社が適切な誘導を行わなかったことなどを過失としている。請求額は約1500万円(治療費や慰謝料を含む)に上る。

 女性側の三宅俊司弁護士は提訴後の記者会見で、「(事故は)本来は、沖縄防衛局による強引な工事推進方針に起因する」と主張。会見に出席した女性の姉は「亡くなられた警備員やダンプの運転手も国策の犠牲者」などとする女性のコメントを読み上げた。

 現場では、土砂搬出を遅らせる目的で、抗議者がダンプカーの前に立ちはだかる「牛歩」や「横断抗議」が現在も続けられており、現場でたびたび開かれる抗議集会などでは女性のことを「フェニックス(不死鳥)さん」などと称賛を込めて呼ぶ動きも見られる。

 これらの動きに対し異議を唱える声もある。10年以上にわたり過激な反基地抗議活動の実態を追い続け、ラジオやSNSで発信を行ってきたラジオパーソナリティーの手登根安則(てどこんやすのり)氏は、一連の問題について、「(抗議者たちは)自分たちの間違いを一切認めず、反省もせず強引に正当化している」と批判する。

 女性の提訴について、「『自分たちが正しく、被害者である』と主張し同情を買おうとする策略だ」と断じ、「こんなことを繰り返していては、また同じような事故が起こる可能性が高い」と警鐘を鳴らした。

 複数の報道によると、沖縄県警は女性を重過失致死容疑で書類送検する方針を固めており、起訴を求める「厳重処分」の意見を付ける方向で調整中だという。現場の実況見分や事故映像の解析などを進め、女性に過失があったと認めた形だ。

 事故原因の究明を求める声が高まる中、県政の対応にも疑問が呈されている。事故現場の防犯カメラ映像について、沖縄県議会の土木環境委員会が視聴を求めた際、与党系議員が「視聴の必要はない」として拒否し、実際に視聴が中止された経緯がある。野党側からは「行政が真相解明を妨げている」「抗議活動に配慮して映像を隠しているのでは」と批判の声が上がった。

 さらに、現場の安全対策として事業者側が要望していたガードレール設置も、県が「歩行者の横断を妨げる」として承認してこなかった。結果的に、歩道と車道の境界が曖昧なまま運行が続けられ、今年3月、事故現場付近で抗議者が警備員に怪我(けが)を負わせる別の事故が発生している。

 こうした対応に対し、「玉城県政は抗議活動に過度に配慮し、安全確保を後回しにした」との批判が強まっている。一方、県側は「歩行者の通行を完全に遮断することはできず、現場管理者の責任で安全対策を行うべきだ」と説明している。

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