トップ国内沖縄県議会 自衛隊への「差別的風潮改める」決議を可決 隊員の人権保障巡り激論 訓練妨害や行事排除に懸念

県議会 自衛隊への「差別的風潮改める」決議を可決 隊員の人権保障巡り激論 訓練妨害や行事排除に懸念

決議を可決した沖縄県議会=8日、沖縄県議会(川瀬裕也撮影)
決議を可決した沖縄県議会=8日、沖縄県議会(川瀬裕也撮影)

 沖縄県議会(中川京貴議長)は8日、自衛隊員およびその家族に対する「差別的な風潮を改め、県民に理解と協力を求める決議」を賛成多数(賛成25、反対19、退席2)で可決した。決議は県内で一部議員や市民団体などによる自衛隊への反発・妨害活動が相次いでいることなどを受け、自民、公明両党が提案したもの。議場では自衛隊の権利保障を訴える賛成派と、言論への介入を懸念する反対派がぶつかり、緊張感が漂う中での採決となった。

(沖縄支局・川瀬裕也)

 県内ではこれまで、左派活動家らによる自衛隊への訓練妨害や、イベントへの参加自粛要請などがたびたび問題視されてきた。今年8月に、訓練中だった宮古島駐屯地司令が抗議活動中の市民団体代表と口論になったことをきっかけに、市民団体側の妨害行為はエスカレート。同月末には、訓練ではなく文化行事である自衛隊と米軍による日米合同コンサート会場にまで反対派が押し寄せる事態に発展した。

 こうした中で、同決議提出の決定打となったのは、9月に開催された「沖縄全島エイサーまつり」で、陸上自衛隊第15旅団の隊員らでつくるエイサー隊出演に対し、仲村未央県議(立民)が共同代表を務める「止めよう辺野古新基地沖縄市民会議」や、遺骨収集団体「ガマフヤー」などが、隊員の出演中止を求めたことだった。

 結果的に同まつり実行委側は、これらの要請に応じず、自衛隊は無事参加を果たしたものの、一連の抗議活動は自衛隊への職業差別に当たるとしてSNSなどでは批判の声が上がっていた。

 決議文には「『自衛隊員である』という理由で社会参加の機会を奪われたり、尊厳を傷つけられたりすることがあってはならない」と明記。自衛隊が災害対応や不発弾処理などで県民の安全を支えていることに触れ、「社会全体がその役割と努力を正しく理解し、共に支え合うことが望まれる」とした。

 賛成討論に立った新里治利県議(自民)は「自衛官だけを『政治的プロパガンダ』と断じ、排除するのは偏見だ」とした上で、「そのような理由で文化活動の場を奪う道理はどこにもない」と主張した。

 これに対し、反対討論に立った新垣光栄県議(おきなわ新風)は「(同決議は)自衛隊組織への批判や、組織的広報活動への反対などの、県民の正当な意見表明を抑え込むものになっている」などと指摘。表現の自由の萎縮に繋(つな)がると批判した。

 討論中、議場では何度もヤジが飛び交い、議長が注意を促す一幕も見られた。傍聴席で多くの県民が見守る中、同議案は可決された。決議には法的拘束力はなく、あくまで議会としての意見表明にとどまるものの、自衛隊員の人権保障について言及した事例は全国的にも異例だ。

 県が2023年4月に施行した「沖縄県差別のない社会づくり条例」の理念には「職業を理由にした差別はあってはならない」とある。これ以上、自衛隊やその家族が不当な差別を受けることがないよう、決議の実効性が問われている。

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