トップ国内沖縄沖縄の伝統行事「大綱引」【美ら風】

沖縄の伝統行事「大綱引」【美ら風】

 夏から秋ごろにかけて、県内各地で「大綱引(おおつなひき)」が相次いで行われる。主に那覇、与那原(よなばる)、糸満を中心に、豊作や航海の安全を祈る祭事として受け継がれてきた伝統行事だ。

 沖縄の大綱引の歴史は古く、稲作が盛んだった時代の「豊年祈願」や「雨乞い」に由来するとされている。雌綱(めづな)と雄綱(おづな)を「カナチ棒(頭貫棒)」で結ぶ所作には、陰と陽の結合や五穀豊穣、子孫繁栄を願う精神が込められているという。

 那覇では15世紀ごろから行われ、1812年には「那覇綱挽(つなひき)規模帳」によって正式な規則が整備された。戦後に一時途絶えたが、1971年、那覇市制50周年を機に復活。現在の綱は全長約180メートル、直径約1・5メートル、総重量40トンにも達し、世界最大のわら綱としてギネス世界記録にも登録されている。

 沖縄の大綱引は地域ごとに「挽」「曳」「引」と表記が異なり、細部の作法にも違いがある。

 那覇大綱挽は、県内最大規模の都市型の大綱引。旗頭行列が彩りを添え、毎年20万人以上が集う。

 与那原大綱曳(つなひき)は、尚永王時代(16世紀)に始まったと伝わる古式行事で、町の各区が持ち寄った綱を当日結び合わせ、長さ3メートルを超える木製カナチ棒を用いて雄雌を接ぐ。

 糸満大綱引は豊年・大漁・無病息災を祈る南部の代表的な祭りだ。旧暦8月15日の夜に行われ、南北に分かれて競う。

 大綱引の歴史に詳しい知人によると、沖縄の綱引の見どころは勝敗ではなく「結び」にあるという。雄と雌の綱がつながる瞬間、地域が一つになる。終わると、人々は綱の一部を持ち帰り、お守りとして家に飾る。沖縄ならではの地域の固い絆を感じることのできる魅力的な祭りだ。(K)

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