
沖縄県南城市議会は9月26日、古謝(こじゃ)景春(けいしゅん)市長(70)に対する不信任決議案を可決した。決議は古謝氏のセクハラ疑惑を巡り、同案が提出されたのは4度目。過去3回はいずれも議会多数派の与党議員の反対で否決されていた。一方で、古謝氏は昨年、同問題に関連し那覇地検に書類送検された後、不起訴処分となっていることから、市民からは「無実なのに辞めさせるのはおかしい」と懸念する声も聞かれる。(沖縄支局・川瀬裕也)
発端は古謝氏の公用車業務を請け負っていた女性が、市長からわいせつ行為を受けたと訴えていることを2023年12月に地元紙が報道。女性は24年2月に、市と市長を相手取り損害賠償を求めて提訴した。
これを受け沖縄県警は24年11月、古謝市長を強制わいせつ容疑で書類送検したが、25年2月、那覇地検は嫌疑不十分で不起訴とした。女性側の虚偽告訴容疑も同時に不起訴とされ、刑事責任は問われなかった。ただし、女性は不起訴を不服として検察審査会に審査を申し立てている。
一方、市議会は24年4~5月に実施した職員アンケートで「セクハラを受けたことがある」との回答が9件寄せられたことなどを理由に、同年10月、第三者委員会を設置し調査に乗り出した。
同委員会が、被害を受けたと訴える女性職員や古謝氏への聞き取り調査などを実施した結果、「ハラスメントがあった」と認定した。今年5月に公表した調査報告書によると、出張先や懇親の場などでのキスや身体接触があったとし、これらがセクハラに当たるとした上で、辞職や市政不関与を含む再発防止策を提言していた。
これに対し古謝氏は真っ向から対立。「一方的な証言に基づいた判断で、公平さを欠いている」と反論し、報告書の内容を受け入れない姿勢を示している。
これらの流れを受け市議会では古謝氏の不信任案が提出されたが、6月と7月はいずれも否決されていた。流れが変わったのは9月下旬。古謝氏が職員に対し、「ハグは覚えている」と述べるなどし、第三者委員会への発言や通報の有無を確認しているかのような音声が報じられた。市長は一貫して疑惑を否定し続けてきたが、説明不足との批判が強まり、議会は9月26日、4度目の不信任案を可決。賛成が出席議員の4分の3を上回る15人で、反対3人、退席1人だった。決議文では「セクハラ」の文言は使わず、「一連の問題」と表現するにとどめたものの、「これ以上市政の混乱状態を放置することは、今後の南城市、また、市民にとって避けなければならないとの判断から、市長の不信任やむなしとの決断に至った」として不信任を求めた。

同日古謝氏は、報道陣の取材に対し、「キスは絶対にしていない」と再度疑惑を否定し、「女性の側からハグをしてきた」と従来の主張を強調し、「(女性職員を)恫喝(どうかつ)したこともない」と断言した。今後の対応について問われると、「関係者と相談して決めたい」と述べるにとどめた。
決議に反対票を投じた市議会与党の平田安則氏は地元メディアの取材に対し、「(第三者委員会に対する)反論書も出ているのに、反論書に対する検証もできていない」などと反対の理由を語っている。
この日、市議会には傍聴席に入り切らない市民のために、議場の外にモニターが設置され、午後2時半ごろに不信任案が可決されると、一部の市民は拍手をして喜ぶ姿も見られた。
一方で、懸念の声も聞かれる。南城市在住の男性は「(古謝氏は)不起訴処分で無実なのに、辞めさせるのはおかしい」と憤る。刑事責任が否定されている状態で、不信任案が繰り返し提出されたことについて、「強引な印象操作ではないか」と批判した。
不信任可決により、古謝氏は10日以内に議会解散か辞職を選択しなければならない。議会を解散すれば40日以内に市議選が行われ、新議会で再び不信任が可決されれば市長は失職となる。辞職または失職の場合は50日以内に市長選が実施される。期限となる10月6日が迫る中、今後の対応に注目が集まっている。






