
宮古島や伊良部島、多良間島など宮古列島の道路脇に立つ警察官姿の交通安全人形。それが「宮古島まもる君」だ。精悍(せいかん)な表情で直立不動の姿は、一度見た旅行者の記憶に強く刻まれる。宮古島警察署が交通事故の多発を背景に、「目に見える啓発」として1990年代に導入したのが始まりだ。
現在は“弟”や“妹”を含め20体超にまで設置が広がっている。造形は身長約180㌢、顔は手塗りのため個体差があり、「同じに見えて微妙に違う」ことがファンの心をくすぐるという。
まもる君の存在は長らく地元住民には「当たり前の風景」だったが、近年は観光客のSNS投稿によって注目度が急上昇している。無表情に立ち尽くす姿が「シュール」「映える」と拡散され、旅行者は島巡りの途中で“推しのまもる”を探し、写真に収める。島全体を舞台にした収集遊びが、新たな観光の楽しみ方として定着しつつある。
さらに、まもる君の活躍は人形を超えて文化資産にまで広がっている。2009年には宮古出身の音楽家・下地暁氏の発案で『宮古まもる君のうた』が制作され、地元ユニットが歌唱。交通安全の啓発歌としてイベントや学校で披露され、10年には沖縄音楽の携帯着うたサイトで10週連続1位の記録も残した。現在は県警公式チャンネルによる「踊ってみよう」動画も公開され、子供から観光客まで誰もが参加できるダンス曲として、地元のイベントなどでは定番の曲になっているという。
また、空港などで販売されるグッズや土産の商標使用料はまもる君の修繕費などに活用され、観光収入が地域安全につながる仕組みが構築されている。
交通安全人形から始まったまもる君は、今や島の観光の一大シンボルに成長し、きょうも島を見守っている。
(K)






