トップ国内沖縄「出火原因はコードのショート」 首里城住民訴訟で技術士が証言 消防や警察の見解を疑問視

「出火原因はコードのショート」 首里城住民訴訟で技術士が証言 消防や警察の見解を疑問視

炎上する首里城=2019年10月31日、那覇市(EPA時事)
炎上する首里城=2019年10月31日、那覇市(EPA時事)

原告団「正確な原因究明を」

首里城正殿などが焼失した2019年10月31日の首里城火災を巡り、県内住民が管理責任を追及している訴訟で、8月7日に那覇地裁にて証人尋問が行われた。火災分析の専門家で技術士の鍵谷司氏(80)が証人として出廷し、出火原因は「電源コードのショート以外考えられない」と証言した。「出火原因不明」と結論付けた那覇市消防局や警察の見解に疑問を呈する形となり、今後の裁判の行方に注目が集まっている。

(沖縄支局・川瀬裕也)

鍵谷氏はこれまで、火災関係の訴訟に何度か鑑定人として携わり、京都地裁の専門委員も務めた過去を持つ。その中で、首里城火災について、那覇市消防局が出火原因を特定できなかったことに疑問を抱き、公開された監視カメラの映像や、同消防局の火災原因判定書などを独自に分析してきた。

鍵谷氏が注目したのは、正殿内の分電盤室に敷設されたLED照明の延長コードだった。出火当時、同コードは通電状態にあり、その後の調査では、銅線に「溶融痕」が残されていたことが明らかになっている。一方で、近くにあった送風機の電源コードには溶融痕は確認されていない。送風機のコードはコンセントから抜かれており、通電していない状態だった。これらの状況から鍵谷氏は、「電気ショートによってコードが溶融し、出火原因となった以外考えられない」と主張する。

監視カメラの映像には、出火直前に何かの小さな光(微光)が映し出されており、鍵谷氏は、これがコードのショートの発光を捉えたものであるとしている。

記者会見で見解を述べる鍵谷司氏(右から2人目)ら=7日、那覇市の沖縄県庁(川瀬裕也撮影)
記者会見で見解を述べる鍵谷司氏(右から2人目)ら=7日、那覇市の沖縄県庁(川瀬裕也撮影)

また、鍵谷氏は首里城の管理体制にも疑問を投げ掛けた。指定管理者である「沖縄美ら島財団」が、見学通路を、正殿内の分電盤室を通るルートに変更した際、通電中のLED照明の延長コードが損傷しやすい環境に置かれたと指摘した。鍵谷氏が、観光客が過去に撮影した動画などを確認したところ、同コードは通路脇などに固定されておらず、放置されており、踏みつけや引っ掛かりによる損傷を受けやすい状態にあったという。これがショートによる発火のきっかけになった可能性が高いと分析している。

同訴訟は21年、8人の沖縄県民が同火災の管理責任の所在の明確化と、指定管理者の美ら島財団に損害賠償を求めるよう県に求め提訴したもの。原告側の共同代表を務める石岡裕氏らは7日の証人尋問後、記者会見を開き、原因特定に至らなかった消防局の燃焼実験などは不十分であるとして、再発防止のための「正確な原因究明を」と訴えた。

約11時間にわたり燃え続けた首里城火災は正殿、北殿、南殿など7棟が全焼、2棟が一部焼失するなど大惨事に発展。それに伴い文化財300点以上も焼失し、大きな被害を生んだ。22年に始まった再建工事は現在、赤瓦の取り付けや塗装など、正殿の外観の復元が完了しており、県は26年秋の工事完了を目指している。

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