
沖縄の夏に欠かせない甘味といえば、かき氷とぜんざいだ。読者の中には、「暑い時にぜんざいを食べるなんて」と驚く人もいるかもしれないが、沖縄のぜんざいは本土の人が想像する温かいお汁粉とは別物だ。黒糖風味の甘く煮詰めた金時豆に、山のようなかき氷を乗せて食べる冷たいスイーツで、暑さの厳しい沖縄ならではのソウルフードと言っていい。
県内各地の喫茶店やパーラーなどで手軽に食べることができ、最近では大手スーパーやコンビニなどでも独自の商品が売られている光景を目にする。
もともと沖縄には、小豆や麦を黒糖で煮込んだ「あまがし」と呼ばれるお菓子があった。戦後、米国から輸入された缶詰の金時豆が材料として使われるのが主流になっていった。さらに、冷蔵設備の発展によって、夏場にはそれを冷やして食べたり、かき氷と一緒に食べたりするなど進化を遂げていき、現在のスタイルが定着したとされている。
筆者がよく立ち寄る那覇市内のパーラー「千日」は、創業70年以上の沖縄ぜんざいの老舗だ。そこではいつも、伝統的な「ミルク金時」を注文する。どんぶりにたっぷり盛られたふわふわの氷の山。それに覆いかぶさるようにたっぷりと練乳が掛かり、下には艶やかな金時豆が顔をのぞかせる。涼しげな見た目に、すでに体感温度も下がっていくのを感じる。
スプーンで一口すくえば、シャリっとした氷の冷たさと豆のふっくらとした甘みが舌の上で溶け合う。どこか懐かしく、不思議とホッとする味だ。ひんやりとした一杯の向こうに、戦後の沖縄の復興や家族の団欒(だんらん)、夏の日差しの下で育まれてきた島の文化が垣間見える。そんなことを考えながら夢中で食べていると、お決まりのあの頭痛に襲われるのである。
(K)






