
「政治は結果だ。15年ぶりに参議院の1議席を奪還しなければ」 公示日の3日、宮古島市で開かれた自民党候補・奥間亮の出陣式で、県連会長の島袋大は支持者らに力強く訴えた。
沖縄選挙区(改選1)は、革新系勢力の「オール沖縄」が長年議席を守ってきた全国でも特異な選挙区。前回3年前も同陣営が接戦を制した。だが、今年は様相が一変している。 知事の玉城デニーを支える「オール沖縄」の現職・高良哲美(沖縄社会大衆党)が組織内の不和によって出馬を見送り、後継に沖縄大学教授の高良沙哉を擁立した。立憲民主党、共産党、社民党などの支援を受け、玉城と共に各地域を回り、平和政策や子育て支援、基地問題を訴える。ただ、「オール沖縄」は昨年から続く県内首長選挙での連敗もあり、組織は一枚岩ではない。
この千載一遇のチャンスに保守議席奪還を狙う自民は、那覇市議会でトップ当選を重ねた若手のエース、奥間を擁立。警察官、社会福祉士、市議の経験を持ち、「現場主義」と「即戦力」を前面に押し出す。第一声の場所には、自身のルーツでもある宮古島を選び、離島振興政策を「一丁目一番地」として掲げ、「地方から国を変える」と訴えた。
奥間陣営は、「知名度、実行力では他候補には負けない」として公明党と連携し、総力をあげて保守票を固めたい狙いだ。首相の石破茂をはじめ、農水相の小泉進次郎など党幹部クラスも序盤から次々と沖縄入りし、奥間への支援を呼び掛けている。
だが同時に、逆風も吹いている。政治資金収支報告書の不記載問題が原因で、自民の支持率が低下している。県内でも「今回は自民には入れたくない」と距離を置く保守系有権者の声も聞こえてくる。奥間陣営は「地方政治で積み上げてきた実績と、本人の人柄で信頼を勝ち取りたい」と地道な訴えで足場を固めている。
票の行方を複雑にしているのが、もう一人の“保守系候補”の存在だ。参政党公認で立候補した琉球大学名誉教授の和田和久は、自民よりさらに保守色の濃い政策を掲げる。街頭では自民の主要公約である現金給付などを批判し、代案として消費税廃止を訴え、一定の支持を集めている。
保守的な国家観に基づいた憲法改正や教育改革などを強調している。自民支持層の一部や保守系の浮動票を引き寄せ、奥間との「保守票の奪い合い」を展開する和田を、ある自民県連幹部は「台風の目」として警戒する。「(和田が)5~6万票集めてくると、(奥間は)かなり危険な水準になってくる」として、気を引き締めた。
共同通信社や地元紙などの序盤情勢調査では、高良と奥間が「ほぼ横一線」(6日時点)。「オール沖縄」勢力と「自公」勢力による事実上の一騎打ちとなっている。だが、有権者の2割超が「投票先を決めていない」と回答していることからも、無党派層の動きがかぎを握る。
参院選の同日、那覇市議選が実施される。改選前の同市議会は保守が優勢だ。参院選への関心を押し上げる要素となる可能性もある。
(敬称略)
(参院選取材班)

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