
沖縄には今も未解決のままとなっているミステリーがある。1973年3月17日、那覇空港から忽然(こつぜん)と姿を消した子ゾウが50年以上経過した現在もまだ見つかっていないのだ。
タイ・バンコクから貨物便で空輸されてきた子ゾウは、那覇空港に到着後、倉庫の中で木製のおりを破壊し逃げ出したという。子ゾウは当時生後10カ月だったものの、体重は約300㌔はあったとされ、容易に発見されると思われていた。しかし、空港内での目撃情報を最後に消息が途絶えてしまったというのだ。
脱走の翌日未明からは、空港職員や警察、米軍関係者まで動員された大規模な捜索が行われた。輸送を担当したTWA(トランスワールド航空)は「発見者に3万円の報酬」を提示し一般市民にも協力を呼び掛けるも、有力な手掛かりは得られず、ついに翌月には捜索が打ち切られることとなった。
ゾウほどの大きな動物が何の痕跡も残さず消えた同事件は世間に大きな衝撃を与えた。当時、那覇空港周辺には広大な米軍基地が広がっていたことや、失踪事件が発生した年が祖国復帰の翌年だったことから、米軍と警察の連携が不十分で捜索が難航したと指摘する声もある。
当時は、「誰かが捕まえて食べたのでは」「海に落ちて溺れてしまったのでは」などの臆測が飛び交ったというが、死骸は発見されていないため真偽不明だ。現在でも、「やんばるの森でまだ生きている」「海岸でゾウの鳴き声らしきものを聞いた」などとする都市伝説めいた投稿がSNS上で時々見受けられる。
もし無事に「沖縄こどもの国」(沖縄市)に届けられていたら、今頃は県民に愛される平穏な暮らしができていたと思うと、不憫(ふびん)でならない。(K)






