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【美ら風】沖縄発の「命の塩」

沖縄本島から車で渡ることができるうるま市・宮城島。この静かな島に、一風変わった精塩方法を行う塩工場がある。「ぬちまーす」(沖縄の方言で「命の塩」)と呼ばれるこの塩が、近年注目を集めている。

ぬちまーすはさらさらしたきめ細かな形状が特徴で、溶けやすく、料理の仕上げ塩やスープなどでの活用に適しているとされる。

ぬちまーすと他の塩製品との最大の違いはその製法にある。通常の精製塩や煮詰め塩では、多くのミネラル成分が製造過程で失われてしまう。一方、ぬちまーすは、海水を細かい霧状にして温風で乾かす、独自の「常温瞬間空中結晶製塩法」を用いることで海洋ミネラルを多く含む。まさに海水をそのまま結晶にしたような塩が出来上がる。

一般的な食塩と比べ、ナトリウム量は約25%少なく、マグネシウムは約200倍、カリウムは約10倍多く含まれるとの分析結果もある。過去には「世界一多様(14種類)な海洋成分を含む塩」としてギネス世界記録に登録され、文部科学大臣賞なども受賞。国内外の研究者からの注目も集めてきた。

ぬちまーすを手掛ける株式会社ぬちまーすの高安正勝代表はかつて、世界日報の取材に対し、「塩は健康に悪いという常識を覆したい」と開発を続ける意欲を説明。海水中のミネラルは生命体の命の源だとした上で、「ミネラルをもっと多くの人が摂取して健康になってほしい」と語った。

同工場は有名な景勝地「果報(かふう)バンタ」に隣接しており、工場見学などを目的に観光客らが立ち寄る人気スポットになっている。沖縄の自然資源である、美しい海を活(い)かした取り組みは、今後の地域産業の在り方を考える上で、大きなヒントになるかもしれない。

沖縄を訪れた際は、「命の塩」を味わってみてはいかがだろうか。(K)

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