トップ国内沖縄名護ダンプ事故から1年 辺野古移設 危険な抗議活動続く 女性弁護士「責任は防衛局に」

名護ダンプ事故から1年 辺野古移設 危険な抗議活動続く 女性弁護士「責任は防衛局に」

県、具体的な対応着手せず

沖縄県名護市で、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事に抗議するため車道に出ていた女性と、交通誘導中だった警備員の男性がダンプカーに轢(ひ)かれ、うち男性が死亡した事故から1年が経過した。現場では現在も危険な抗議活動が継続しており、安全上の課題は解消されていない。

(沖縄支局・川瀬裕也)

事故から1年となった6月28日、現場となった名護市の安和桟橋付近で抗議活動を支援する市民団体らが追悼・抗議集会を開催した。集会では事故に遭った女性直筆の「事故は(沖縄)防衛局が安全性を無視して工事を急がせた危険なダンプの2台出しによって起こった。亡くなった警備員や、ダンプの運転手も国策の犠牲者である」などとするメッセージが読み上げられた。

集会では女性の弁護士も登壇し、「防衛局による違法な安和桟橋の使用」や「危険な歩行者への妨害行為の実態」があったとし「事故の責任は防衛局にあることを明らかにすることが必要だ」と主張した。

県警は事故の真相究明に至っておらず、責任の所在が不明の状態が続いている。現場では今も連日、ダンプカーの往来を妨害する「牛歩」による抗議活動が続けられている。

県は過去に一度、抗議活動の牛歩行為を禁止する警告看板を設置したものの、オール沖縄系市民団体の反発を受け、わずか2カ月で撤去。その後も危険な状況が放置された。

牛歩などの危険行為に対して、これまで防衛局や工事事業者は県に対し、ガードレール設置など具体的な対応を求めていた。事故の1年前には、県による設置が難しい場合は事業者側が費用を負担するとまで提案していた。

ところが県は、「歩行者の横断を制限することになる」として承認してこなかった経緯がある。現在、事故現場には簡易な仕切りが設けられているが、ガードレールは未設置のままとなっている。

そのような中で、今年3月、事故現場付近で抗議者が警備員に怪我(けが)を負わせる新たな事故が発生していたことを産経新聞がこのほど報じた。これについて、6月27日の県議会本会議で、野党・自民党の島袋大県議が、県と県警に詳細を把握しているか尋ねると、小堀龍一郎県警本部長は、「現場付近では昨年の死傷事故発生後も危険な抗議活動が行われており、ご指摘の事案についても承知している」と認めた。一方、県土木建築部の砂川勇二部長は「報道があったことは承知している」と述べるにとどめた。

辺野古移設を巡る議論は依然として平行線をたどるが、人命が失われたという事実に正面から向き合い、再発防止のための現実的な対策を講じることが、行政にも活動家にも等しく求められている。

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