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沖縄県が米国に設置した「ワシントン事務所」を巡り、調査特別委員会(百条委員会)で調査が進められる中、開会した県議会(中川京貴議長)2月定例会で12日、2025年度予算案が異例の差し戻しとなった。県がワシントン事務所関連の予算を盛り込んだことに野党・沖縄自民が反発。議決を拒否し県に差し戻す「返付」の動議を提出し、賛成多数で可決された。玉城デニー知事はじめ県側の今後の対応に注目が集まっている。(沖縄支局・川瀬裕也)
野党が返付動議提出
玉城氏、今後の対応「十分検討」
ワシントン事務所は、故翁長雄志前知事が15年、初当選時に設置し、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対に関する情報発信や、知事訪米時の手続き業務などを担当してきた。
ところが昨年、同事務所は県が100%出資する株式会社として登録されていた事実が発覚し、設立時に取得した株式が公有財産として登録されていなかった問題や、県が委託契約を結ぶ現地の弁護士が数カ月間音信不通になっているなどの問題が次々と明るみに出た。
これらの問題を調査する百条委員会が開かれている中、県は12日、総額8894億円の一般会計当初予算案を議会に提出。このうち、同事務所の運営費として3900万円を計上した。これに対し、自民が予算案から同運営費を削除するよう県側に求め、議会は一時空転。
その後開かれた議会で、大浜一郎県議(自民)は同事務所について、「庁内の意思決定がないままに設立されたものであり、本来的には設立無効の状態であった」と指摘。地方自治法96条に違反している状態であるとして、同事務所運営費を含んだ予算案の返付を求める動議を提出。賛成多数(賛成24、反対19、欠席1)で可決され、県議会で初となる一般会計予算案の差し戻しとなった。
議会後、自民党県連の座波一幹事長は報道陣の取材に応じ、「普通通りに予算計上しては、われわれは審議に応じられないと再三言ってきたにもかかわらず、県執行部は予算を計上してきた」と県の姿勢を批判。同事務所の予算を予備費に回すなど修正するよう県側に求めた。
一方、玉城氏を支える県議会与党は、野党に対し、「審議に関わらないことは、議員としての職務放棄だ」などと主張し、反発した。
同日、記者団を前に玉城氏は、同問題について「これまで、百条委員会や総務企画委員会などでも答弁をさせていただいている」と語り、野党に「審議に応じていただきたい」と求めた。ただ今後の対応について問われると、「十分に検討する」と述べるにとどめた。
野党側は19日の県議会代表質問までに修正案を提出するよう県側に求めている。24年度内に予算案成立となるか、県側の対応に注目が集まっている。