トップ国内沖縄ワシントン事務所問題 県議会、昨年度決算を不認定

ワシントン事務所問題 県議会、昨年度決算を不認定

本土復帰後初

県議会で反対討論に立つ座波一県議=11月26日、沖縄県議会(沖縄・自民ユーチューブより)

沖縄県が米国に設置した「ワシントン事務所」を巡る問題が次々と明らかになる中、県議会(中川京貴議長)は11月26日、11月定例会本会議で、同事務所の運営費などを盛り込んだ2023年度一般会計決算を反対多数(賛成19、反対27、欠席1)で不認定とし、事務所に関する監査請求の動議を賛成多数で可決した。県議会での決算不認定は沖縄の本土復帰以降初めてで、玉城デニー知事の政治責任が問われる事態となっている。(沖縄支局・川瀬裕也)

監査請求の動議可決

自公維で究明チーム設置

同事務所は、故翁長雄志前県知事が15年、初当選時に設置し、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対に関する情報発信や知事訪米時の手続き業務などを担当してきた。ところが、同事務所について、県が100%出資し、駐在する県職員を社長とする株式会社として登録されていた実態がこのほど明らかとなった。

さらに、同事務所に関する経営状況などの報告書類を県が議会に8年間提出してこなかったことも発覚し、「地方自治法に違反している」との観点から野党・自民党などが議会で追及していた。

このような中で26日に開会した県議会11月定例会では、座波一県議(自民)が昨年度決算認定に関する審議で反対討論に立ち、「沖縄県政始まって以来の大きな疑惑が発覚したと言わざるを得ない」と強調した上で、「ワシントン駐在員活動事業はさまざまな法律違反の下で展開されていることが明らかになった」と語気を強めて批判した。

定例会見で謝罪する玉城デニー知事=11月28日、沖縄県庁(沖縄県公式ユーチューブより)

沖縄自民党・無所属の会と公明党、日本維新の会の3会派が反対し、決算は不認定となった。また、3会派が提出した、同事務所を巡る諸問題の監査を請求する動議が賛成多数(賛成27、反対19)で可決され、復帰後初の監査請求が行われた。

これに先立ち、3会派は25日、「ワシントン駐在に関する問題究明プロジェクトチーム」を設置。有識者や専門家らを交えて、同事務所の適法性を検証し、調査特別委員会(百条委員会)の設置も視野に、玉城氏の政治責任を追及する構えを見せている。

玉城氏は28日の定例会見で、昨年度決算が不認定になったことについて「残念に思うとともに、重く受け止めなければならない」と述べた。県として、同事務所設置時の庁内での手続きと、法的適合性の是非などについて調査を続けているとした上で、改善点について「必要な措置を取るよう指示を出した」と語った。

また、同事務所の経営状況などが県議会へ報告されてこなかった問題について、十分な整理がなされていなかったことを深く反省した上で、「今後、こういうことがないように取りまとめていきたい」と謝罪した。

玉城氏は会見で、引き続き同事務所が活動を続けることへの理解を求めたが、年間約1億円の予算が計上されている事業だけに、野党県議らをはじめとする県民からのさらなる追及は避けられないものとみられる。

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