トップ国内【連載】第2次高市改造内閣の課題(3)日米軸に「力強い外交」推進

【連載】第2次高市改造内閣の課題(3)日米軸に「力強い外交」推進

外交・安保

 ■中国に日米で対処

 米ニューヨークで22日、日米首脳会談が開かれた。高市早苗首相とトランプ米大統領は、日米同盟の結束・強化を改めて確認。今回の会談は、第2次高市改造内閣発足翌日の18日に木原稔官房長官が公表した。米中首脳会談の直前にセットし、日米同盟を最も重視する高市政権の外交姿勢を印象付けている。

国連総会の会期中に開催された日米首脳会談=22日、米ニューヨーク(AFP時事)
国連総会の会期中に開催された日米首脳会談=22日、米ニューヨーク(AFP時事)

 特に中国への対応では日米の連携が不可欠だ。習近平国家主席は中国が米国を凌駕(りょうが)することを国家目標とし、世界戦略を進めている。その過程には「台湾統一」も含まれ、武力行使の可能性を排除していない。ロシアのウクライナ侵略は危険な予兆と言える。

 台湾情勢を巡り、中国は首相の昨年臨時国会での「存立危機事態」答弁に強く反発し、両国関係は冷え込んだ。自国民に日本旅行の自粛を求め、軍民両用製品や日本向けの希土類(レアアース)などの輸出規制を強化した。

 中国に対する政府の方針は「戦略的互恵関係」の包括的推進だが、経済活動を武器化する動きについては、サプライチェーンの強靱(きょうじん)化や依存低減を図る「デリスキング」にある。経済的利益と安全保障をいかに両立させるかが課題だ。

 ■「法の支配」の連携

 首相は「力強い日本外交」を掲げ、閣僚指示書では次のように謳(うた)っている。

 「法の支配など基本的価値の共通基盤の上に諸外国と一致して対応する『力強い日本外交』を展開する」「日米同盟を基軸とし、『自由で開かれたインド太平洋』を我が国のイニシアティブにより進化させていくとともに、同志国やグローバルサウス諸国との多角的な連携を強化・拡大する」

 また、外務省は外交青書で、外交力を支える柱として①日米同盟の強化②同志国・友好国との連携③日本自身の安全保障能力の強化―を挙げている。その狙いは一つに「力による現状変更」を進める中国、ロシアの結束に対抗することだ。

 ただ、一番の後ろ盾である同盟国・米国で、トランプ政権による予想外の行動がリスクにもなる。追加関税、イラン攻撃後のホルムズ海峡への船舶派遣要請、国際刑事裁判所(ICC)に対する制裁などだ。

 首相は指示書で、日本は国際司法裁判所(ICJ)、ICC、国際海洋法裁判所(ITLOS)を評価しており、「法の支配」の重要性の発信、国際秩序の維持に積極的な役割を果たす意思を示している。しかし、もともと米国は国連や国際機関への信頼が日本ほど厚くはない。相互理解に粘り強い取り組みが必要だ。

 また、茂木敏充外相はこれまで「多角的・重層的連携をリードする、包容力と力強さを兼ね備えた外交を展開する」との外交方針を掲げてきた。そのためには、先進7カ国(G7)、東南アジア諸国連合(ASEAN)、日米豪印4カ国の枠組みである「クアッド」、欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)などとの協力を一層深める必要がある。

維新と安保3文書を改定

 ■政策通を補佐官に

 一方、高市政権は年内に安全保障3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画)を改定する方針を掲げており、小泉進次郎防衛相も「残された時間は多くない。最大の速度と強度で作業を進める」と決意を示している。

 政治評論家の田村重信氏は、「年末に向けて、防衛費の増額や防衛力の整備、安保3文書の策定など、外交・安全保障政策を着実に進めることが求められる。特に安保3文書のために、外交・安保通の若宮健嗣氏を安保担当の首相補佐官にした」と述べ、優先順位の極めて高い政権課題であると指摘した。

 現行の安全保障3文書は岸田文雄政権下で策定され、「反撃能力」の保有を明記するとともに、防衛装備移転三原則の運用見直しを通じて防衛装備品の輸出拡大への道を開いた。その後、高市政権は反撃能力の中核となる長射程スタンド・オフ・ミサイル「25式地対艦誘導弾」の配備などを進めている。また、防衛装備移転についても対象を大幅に拡充し、従来の救難・輸送・警戒・監視・掃海の5類型に加え、護衛艦や潜水艦、ミサイル、火砲、弾薬、無人機など幅広い装備の輸出を可能とした。

 ■原潜など扱い焦点

 もっとも、現行の3文書は自民・公明両党による連立政権時代に策定された。高市政権は自民と日本維新の会による連立政権であり、新たな3文書には維新の安全保障政策も反映される可能性がある。維新は6月に国家安全保障戦略に関する提言をまとめており、原子力潜水艦の保有や非核三原則の「持ち込ませず」の見直し、核共有の検討など、従来の議論を超える踏み込んだ内容を提示した。

 中国は核戦力の大幅な増強を進め、北朝鮮の核開発も続いている。韓国では核保有の世論が高まり、原潜建造を計画している。

 小泉防衛相は原潜保有について「あらゆる選択肢を排除しない」と述べた。ウクライナ戦争では宇宙、AI、無人機を活用した新たな戦争の姿が浮き彫りとなったが、国家間の戦略的均衡を支えているのは依然として核抑止である。

 中国の軍事力が急速に増強される一方、米国の相対的な影響力低下を懸念する見方もある。だからこそ、3文書の改定を通じて日本の将来の国家安全保障戦略を明確に示すことが、高市内閣に課された重要な使命と言えるだろう。(窪田伸雄)

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