共産党機関紙「しんぶん赤旗」など政党機関紙の庁舎内勧誘が全国的に問題となっている中、福井市は8日、市職員を対象に行ったアンケート結果を公表した。勧誘を受けた職員のうち74%が「心理的圧力」を感じ、寄せられたコメントの98.2%が庁舎内勧誘に否定的だったことが分かった。(「しんぶん赤旗」勧誘問題取材班)

福井市議会は3月定例会で、政党機関紙の庁舎内勧誘に関する早期の実態把握と防止措置を求める陳情を共産党議員を除く全議員の賛成により採択した。これを踏まえ、全市職員2215人を対象に6月5日から18日までアンケート調査が行われた。597人が回答した。
■昇進時に狙い撃ち
政党機関紙の購読勧誘を受けたことがある職員は203人(34%)いた。勧誘を受けたときの職位は、課長補佐が61%を占め、昇任するタイミングで勧誘される傾向が浮き彫りになった。
購読した職員のうち、勧誘を受けて「購読した」のは47人(23%)、「断り切れずに購読した」人は90人(44%)だった。「断った」のは66人(33%)だった。勧誘を受けた際、心理的圧力を感じた職員は150人(74%)いた。

自由記述回答には168件のコメントが掲載されている。本紙が分析したところ、「勧誘行為をやめてほしい」「断りづらい」「疑問を感じる」など、庁舎内勧誘に否定的な意見は165件に上った。中立的・条件付きの意見が3件。庁舎内での勧誘を歓迎する趣旨の意見は0件だった。

■記述で深刻な訴え
議会質問巡り共産議員が圧力
執務室の個人情報漏洩を危惧
若手の昇進意欲低下の一因に
福井市議会定例会の一般質問で近藤實市議は9日、アンケートの自由記述には「大変深刻な事柄が書かれている」と指摘し、職員の苦情の一部を読み上げた。
回答した多くの職員は、議員からの勧誘に断れずに困っている実情を訴えていた。
「課長補佐以上は機関紙を購読しなければいけないような風潮があり、断りづらい」
「一度購読を断ったものの、数カ月後に議員二人で職場の席まで直接依頼に来られ、断り切れず再び購読を始めた」
「不当な圧力による勧誘行為のため、一律禁止すべき」
「議会質問もありますからね」と念を押され、購読しないと質問を増やすと言われるように感じたという書き込みもあった。
アンケートでは、パワーハラスメントだけでなく、情報漏洩(ろうえい)など危機管理の観点から疑問視する意見も多かった。
「市役所職員ではない者が執務室内に当たり前のように入ってくるのは個人情報保護の点でもよろしくない」
若手職員の昇進意欲を削(そ)いでいるという意見も散見された。
「勧誘を受けるのも、断るのも、本意ではないものにお金を払うのもすべて嫌なので、昇進なんかしたくないな、と思った」
「管理職以上の職員が、議会で質問を受けたくないためのご機嫌取りとして購読しているという話を耳にする。職員の昇進意欲低下の一因になっていると思う」
■市は政党に個別対応

アンケート結果を受け、市は、職員に対して政党機関紙に関するハラスメント相談窓口を周知するほか、「心理的圧力を感じる行為があったとされる政党に対して個別に対応」するとしている。結果は8日付で市のホームページに全文掲載されている。
福井市在住の陳情者の男性は本紙の取材に対し、「市が実態調査を行い、その結果をホームページで公開したことも含め、行政の迅速な対応には感謝している」と述べた。一方で、「3月議会で勧誘の防止措置を求める陳情が採択された直後に、市が(庁舎内販売の)許可証を出したことを一般質問の答弁で知り、遺憾に思っている。本来なら、まず職員の意向を調査し、その結果を踏まえて許可証発行の是非を検討するのが筋ではないか」と疑問を呈し、「職員に寄り添う姿勢よりも、特定政党の議員への配慮を感じてしまう」と訴えた。







