トップ国内【連載】検証・れいわ新選組(下)漂流するリベラル層、野党再編の動きも

【連載】検証・れいわ新選組(下)漂流するリベラル層、野党再編の動きも

 なぜ、れいわ新選組は衰退したのか。

 難病を理由に山本太郎氏が参院議員を辞職し、メディアへの露出が減ったのも要因の一つだが、政策面での埋没もあった。今年2月の衆院選では国民民主党などの野党、さらには与党の自民党や日本維新の会が消費税減税や積極財政を訴えたことが影響している。

れいわ新選組の代表選に立候補した(左から)山本譲司氏、阪口直人氏、石井礼子氏(画面)=7月17日午後、国会内(時事)
れいわ新選組の代表選に立候補した(左から)山本譲司氏、阪口直人氏、石井礼子氏(画面)=7月17日午後、国会内(時事)

 山本氏は7月9日の記者会見で党の成果をこう総括した。

 「30年の不況によって国民は貧乏にさせられた。政治と資本が結託して食い物にしたのだと、政党として問題意識を多くの方々に伝えていったのは初めてだった」

参政がれいわの受け皿に

 党が立ち上がった19年10月、政府は消費税率を8%から10%に上げた。れいわは消費税の引き上げに合わせて支持を増やした。人気のピークは24年の衆院選や25年の参院選で、いずれも比例代表で380万票台を獲得した。

 その影響を最も受けたのが共産党だ。16年参院選以来、退潮が続いている。比例代表の得票数は25年には286万票と16年の半分を下回った。

 21年には、消費税減税や安保関連法案を巡り、立憲民主党や共産なども政策合意し、共闘した。一部の選挙区や地域で、共産がれいわの候補者を自主的に支援する動きもあった。

(写真左から)れいわ新選組の櫛渕万里、社民党の福島みずほ党首、酒井なつみ候補、日本共産党の田村智子委員長、立憲民主党の蓮舫 =16日午後、東京江東区の東陽町駅前
(写真左から)れいわ新選組の櫛渕万里、社民党の福島みずほ党首、酒井なつみ候補、日本共産党の田村智子委員長、立憲民主党の蓮舫 =16日午後、東京江東区の東陽町駅前

 一方で、その反対の動きもある。沖縄では、れいわは革新共闘の「オール沖縄」の枠組みから離脱した。24年衆院選の候補者調整における不一致で山本氏が憤慨し、「オール沖縄の歴史的役割は終えた」「選挙互助会に落ちぶれた」と言い捨てた。

 山本氏の予測不能な言動に振り回された支援者は多い。過去にれいわを支持したという有権者は、山本氏について「思想の右左に関係なく、不満がたまった日常を打破し、利権や私利私欲に走る政治家を懲らしめてくれる人物として信頼していた」と話す。

 選挙戦を取材して感じたのは、れいわのボランティアや支持者の熱狂ぶりだ。近年、躍進している参政党と通じるものがある。

 参政の神谷宗幣代表が、山本氏の支援者の受け皿にもなっている。神谷氏が掲げる〝日本人ファースト〟はれいわとは相容(あいい)れないが、積極財政と反エリートを訴える点では山本氏と共通している。世論調査によると、2月の衆院選ではこれまでれいわに投票していた多くが参政に入れた。山本氏を見限ったれいわ支持者を取り込んだと読み取ることができる。

 革新左派勢力の後退は〝れいわ消滅〟にとどまらない。衆院選に合わせて立民と公明党が合流した中道改革連合では、革新色が強い立民出身者の多くが落選の憂き目に遭った。共産も議席を大きく減らし、衰退傾向に歯止めがかからない。

ひろゆき新党が始動

 れいわは、山本氏の個性を生かして支持者を獲得していった。それだけに、党の顔が交代すれば党勢の縮小も早い。複数の政治評論家は、山本氏の辞任が左派政党の「再編の引き金」になり得ると指摘する。

 現在、参院における立民と公明の中道への合流が難航している。たとえ、党として中道への合流に合意したとしても、残留を選ぶリベラル左派は一定数いるとみられる。その場合、中道と差別化し、左派リベラルで親和性の高いれいわや共産が、選挙や国会で連携する動きが加速するとのシナリオが現実味を帯びてくる。

 左派政党の凋落(ちょうらく)に付け入ろうとする動きもある。

 インターネット掲示板「2ちゃんねる」創設者の「ひろゆき」こと西村博之氏と元兵庫県明石市長の泉房穂参院議員が新たな地域政治団体「ひろゆき&いずみ新党」(仮称)を立ち上げた。来年4月に予定される統一地方選で、8道府県知事選と6政令市長選、東京都内の11区長選、約200市町村長選で擁立を検討するとされる。

 世界に目を向けると、米ニューヨーク市のマムダニ市長に象徴されるように左派ポピュリズムが台頭している。新党は左派寄り無党派層の受け皿になる可能性がある。

 こうした中、れいわの山本譲司新代表にとっては厳しい船出となる。代表選出を受け、「失われた30年を取り戻すために当たり前のように消費税廃止は言い続けなければならない」と述べ、原発推進にも反対すると表明した。事実上の山本太郎路線の継続宣言だ。看板の掛け替えだけで、失った有権者を取り戻すことは困難だ。

 (豊田 剛)

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