トップ国内【連載】終盤国会 与野党の攻防(上)審議停滞招いた野党、皇室典範改正案は成立へ

【連載】終盤国会 与野党の攻防(上)審議停滞招いた野党、皇室典範改正案は成立へ

 自民党と日本維新の会による高市内閣の発足から8カ月が経過した。国会終盤では重要法案の議論が立て込んでおり、1週間程度の小幅な延長は免れない情勢にある。

党首討論で、中道改革連合の小川淳也代表(左)の質問に答える高市早苗首相=15日、国会内(時事)
党首討論で、中道改革連合の小川淳也代表(左)の質問に答える高市早苗首相=15日、国会内(時事)

皇室典範無視する野党

 今国会の中でも、政府・与党が最優先で成立を急いだのが皇族数を確保するための皇室典範改正案だった。政府の有識者会議は2021年の報告書で、皇族数の減少を「喫緊の課題」と位置付けており、自民党総裁の高市早苗首相と日本維新の会共同代表の藤田文武衆院議員が法案成立に向け党内調整を図った。

 ただ、改正議論は一筋縄ではいかなかった。野党がメディアの意向を汲(く)み、愛子内親王殿下にも皇位継承権を持たせるべきだと、しきりに「愛子天皇」論を持ち上げたからだ。国民民主党の榛葉(しんば)賀津也幹事長は3日の記者会見で、「議論に必要な絶対条件は、静謐(せいひつ)な環境だ。与野党が衆参で暴れていたら、大切な皇室問題は議論できない」と苦言を呈した。

 皇室典範第1条には「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」と定められている。皇室問題に詳しい皇學館大学特別教授の新田均氏は「秋篠宮皇嗣殿下、悠仁親王殿下、旧皇族に対するネガティブ・キャンペーン」があるとした上で、人気投票のようなやり方で世論を誘導し、制度を恣意(しい)的に変えようとする動きにこそ異を唱えなければならないと注意を喚起する。

 改正法には、①旧宮家の男系男子を養子として皇族に迎える②女性皇族が結婚後も皇族の身分を保つ――の2案が盛り込まれた。養子案において、養子に男子が生まれた場合、その子に皇位継承権を持たせるかどうかについては、木原稔官房長官が皇位継承資格を持つとの認識を示したことに一部の野党が反発した。

 立憲民主党の水岡俊一代表は15日、「皇族数確保策として始まった議論が、結果として、新しい皇位継承資格者を生み出す制度にすり替わっている」として、「だまし討ちだ」と反発した。

 皇室典範改正案の衆院議院運営委員会での審議は10日、3時間行われた。その日のうちに衆院本会議で可決され、17日に参院本会議でも可決・成立する。

国会議事堂
国会議事堂

首相秘書疑惑で国会停滞

 国会日程が窮屈になった背景には、6月29日以降、野党議員が委員会や本会議を欠席し、審議が進まなかったという事実がある。集中審議に首相が応じないとして野党が反発したためだ。

 集中審議を開くかは与野党協議に委ねられているが、首相の意向で決まる部分が大きい。歴代の首相は、円滑な国会運営のために審議に応じてきた。野党は、首相の集中審議への出席時間が前任の石破茂氏の半分以下と短いことを理由に、首相は「国会を軽視している」と批判した。政府・与党は「首相は出席要請があれば応じる」と反論した。

 自民党総裁選と衆院選挙で首相の公設秘書が他陣営を誹謗(ひぼう)中傷する動画の作成に関わったのではないかと週刊誌で報道された件で、野党は首相を追及した。

 この疑惑で首相は6月22日の衆院予算委員会で、秘書の陳述書を理事会に提出することで「それをもって本件に関する詳細な問いへの答弁としたい」と野党に呼び掛けた。しかし、それがむしろ火に油を注ぎ、野党(中道改革連合、国民民主党、参政党、チームみらい、共産党)が委員会や本会議を欠席する事態につながり、国会審議が停滞した。

 15日には野党が審議に復帰する条件の一つとして党首討論が行われた。中道の小川淳也代表が、疑惑そのものよりも首相の答弁や対応に批判の矛先を向けた。

 首相は「中傷動画を作ることも、第三者に頼むこともあり得ない」と述べ、「私も、私の事務所も、他の候補を批判することはしてこなかった」と全面否定した。

国民は野党に冷ややか

 こうした影響もあってか、内閣の支持率が下がる傾向にあるが、依然として60%前後の高い支持率を得ている。逆に、野党各党の支持率は停滞したままだ。

 政治評論家の田村重信氏は、「これでも高市内閣の支持率が6割と十分に高く、不支持率の倍の支持があるのはすごいこと」と指摘。野党の支持が伸び悩んでいることについては「審議拒否しているのを国民は批判的に見ている」と話す。

(豊田 剛)

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