
サッカー・ワールドカップ(W杯)2026年大会で優勝候補の筆頭として注目を集めているのが前回王者のアルゼンチン代表だ。カタールW杯(22年)の優勝チームを率いたスカローニ監督に加えてアルゼンチンの英雄メッシを含む多くの優勝経験メンバーを擁し、国内ファンからも連覇への期待が高まっている。
アルゼンチン代表は南米予選18試合で12勝2分4敗・31得点10失点の圧倒的な成績を残して1位通過した。敵地マラカナンで強豪のブラジル代表を1―0で破ったことも、その強さを示す象徴的な出来事だった。
注目選手のうち、最も目立つのは38歳のリオネル・メッシ選手(インテル・マイアミ)だ。カタール大会でアルゼンチンに1986年以来、36年ぶりとなるW杯優勝をもたらし、MVP(最優秀選手賞)に輝いた。
カタール大会後に代表引退を示唆したが撤回し、W杯6大会連続出場を達成した。南米予選でも決定的な能力の違いを見せつけエースとして活躍し、ボリビア戦ではハットトリックを決めるなど、キャプテンとしてチームを率いる存在となっている。
守りの要になるエミリアーノ・マルティネス選手(アストン・ビラ)は、前回大会で最優秀ゴールキーパー賞を受賞した。24年9月のチリ戦での不適切なジェスチャーやコロンビア戦後のカメラマンへの接触行為により、国際サッカー連盟(FIFA)から2試合の出場停止処分を受けたが、メンバーに復帰して本大会を迎えている。
その他にも、インテル・ミラノのエースストライカーのラウタロ・マルティネス選手やカタールW杯で最優秀若手選手賞を受賞した中盤の要となるチェルシーのミッドフィールダー、エンソ・フェルナンデス選手など前回優勝の経験者が多く名を連ねている。
若手の台頭にも期待が寄せられており、司令塔としての期待を担うミッドフィールダー、ニコラス・パス選手(コモ・イタリア)をはじめ、サイドバックからストライカーまで次世代の代表を担う世代も揃(そろ)っているのがアルゼンチンの強みだ。
さらに、本大会では1次リーグのグループにも恵まれており、アルゼンチンが所属するJ組の対戦相手はオーストリア(FIFAランキング24位)、アルジェリア(同35位)、ヨルダン(同66位)。「ライバル不在」とも言われているグループに所属したことで、1位通過が絶対条件とされている。
一方、大会開幕に向けた懸念材料も存在する。昨年11月には日本と韓国との親善試合が交渉段階で白紙化。ベテラン勢の年齢的な衰えに伴うパフォーマンス不足に加えて、大会前の試合不足によるチームとしての連携や戦術確認の不足が指摘される。
カタール大会では、圧倒的な力を見せつけたアルゼンチン代表だが、予選グループではサウジアラビアに敗れるなどの波乱もあった。「下馬評を気にすることなく、全てのチーム相手に真剣に戦う必要がある」(スカローニ監督)の言葉通り、油断は禁物だ。
メッシ選手の5月の負傷は、復帰のめどが立っていると言われる。アルゼンチンの英雄の「最後のダンス」は、カタールW杯のような活躍を再び期待することができるのか。さらには、次世代の台頭によりメッシ後のアルゼンチン代表が目指す「チーム全体で戦う」姿が見られるのか。連覇を懸けたアルゼンチンの戦いは、16日のアルジェリア戦から目が離せない展開となりそうだ。
(サンパウロ綾村悟)







