トップ国内江戸薫る両国街歩き 庶民文化の溶け込んだ風景

江戸薫る両国街歩き 庶民文化の溶け込んだ風景

ミニチュアで再現された江戸の町に見入る来場者=東京都墨田区、江戸東京博物館
ミニチュアで再現された江戸の町に見入る来場者=東京都墨田区、江戸東京博物館

 JR両国駅前には江戸東京博物館がある。江戸と東京の歴史や文化、人々の暮らしを学べる施設で、このほど約4年ぶりにリニューアルオープンした。館内には、実物大で復元された日本橋や明治期の銀座を象徴する服部時計店の原寸大模型など、江戸から東京への歩みを体感できる展示が並ぶ。館内を後にし、歴史の余韻をたどるように両国の街へ出た。

 まず目に留まったのは力士像。歴代横綱の手形も飾られており、自分の手を合わせてみると、手のひらの大きさに驚かされる。その足元に目をやれば、富嶽三十六景をモチーフにしたマンホールもあった。相撲も浮世絵も、江戸の庶民に広く親しまれてきた文化。そうした名残が、現代の街角にごく自然に溶け込んでいる。浴衣姿の力士とすれ違った。いかにも両国らしい光景である。

力士像と葛飾北斎の「富嶽三十六景」をモチーフにしたマンホール=東京都墨田区
力士像と葛飾北斎の「富嶽三十六景」をモチーフにしたマンホール=東京都墨田区

 隅田川の流れが広がる両国橋のたもとには、大高源五の句碑が立っていた。大高は、主君の仇(あだ)討ちで知られる赤穂浪士四十七士の一人で、忠臣蔵として語り継がれてきた人物だ。近くには、かつての名物景観「百本杭〈ひゃっぽんぐい〉」を紹介する案内板もあった。流れの速い川岸を守るため打ち込まれた無数の杭(くい)が、やがて隅田川の風物詩として親しまれたという。

 さらに足を延ばすと、吉良邸跡・本所松坂町公園に行き着く。赤穂浪士討ち入りの舞台となった吉良邸の一角を整備した場所で、園内には吉良上野介(こうずけのすけ)の首を洗ったと伝えられる井戸も残されている。石組みの井戸は今も物々しい雰囲気を漂わせ、当時の緊迫した場面を思わず想像させた。

赤穂浪士の一人である大高源五の句碑=東京都墨田区
赤穂浪士の一人である大高源五の句碑=東京都墨田区
吉良邸跡・本所松坂町公園=東京都墨田区
吉良邸跡・本所松坂町公園=東京都墨田区

 近くには、勝海舟生誕の地碑や、すみだ北斎美術館などもある。この街が多くの人物や文化を育んできたことが、至る所から伝わってくる。

 歩いてみると、江戸庶民に愛された文化や歴史の面影が、街のそこかしこに息づいていた。江戸東京博物館の再始動は、こうした街歩きをより一層奥深いものにしてくれそうだ。

(文と写真・山田芙珠美)

勝海舟生誕の地碑=東京都墨田区
勝海舟生誕の地碑=東京都墨田区
大名の籠の体験コーナーで、中に入る来場者=東京都墨田区、江戸東京博物館
大名の籠の体験コーナーで、中に入る来場者=東京都墨田区、江戸東京博物館
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