トップ国内【連載】皇室典範改正―安定的継承の行方(中)「女性天皇」にのしかかる重圧

【連載】皇室典範改正―安定的継承の行方(中)「女性天皇」にのしかかる重圧

 皇室典範第2条に基づき、皇位は以下の順序で継承される。①秋篠宮文仁親王(天皇陛下の弟)②悠仁親王(秋篠宮家の長男)③常陸宮正仁親王(上皇陛下の弟)。

 男系男子に限った皇位継承は女性差別に当たるとして、国連女性差別撤廃委員会は2024年10月、男女平等のために王位継承法を正した他国の事例を挙げ、皇室典範を改正するよう求めた。これに対し、政府は、皇室典範改正の勧告は内政干渉だとして抗議した。

 現行の皇室典範は、天皇や皇族の身分、皇位継承など皇室のルールを定めた日本の法律。1947年に施行され、男系男子の継承や、一般男性と結婚した女性皇族の離脱を定めている。中道改革連合は、家柄による特別扱いが憲法14条に抵触するとの見解を示している。

皇室典範改正を求める集会で、あいさつする自民党の麻生太郎副総裁(壇上)=20日午後、東京都千代田区
皇室典範改正を求める集会で、あいさつする自民党の麻生太郎副総裁(壇上)=20日午後、東京都千代田区

 自民党の麻生太郎副総裁(元首相)は20日、「皇室の伝統を守る国民の会」(会長・山東昭子元参院議長)が主催する国民会議であいさつし、持統天皇をはじめ女性天皇が過去8人いたことについて「天皇または皇太子を夫としていたか、元正(げんしょう)天皇のように生涯独身であったかのいずれであったかという事実を忘れてはならない」と述べ、女性天皇の即位に否定的な見解を示した。

 長い歴史の中で、推古天皇や持統天皇ら8人の女性天皇はいずれも父方が天皇の血筋である男系だ。女性皇族が婚姻後も皇族身分を保持する案については、自民は「内親王女王方の配偶者、お子さんは皇族としないことが大前提」と強調している。

 皇學館大學の新田均特別教授は、天皇の最も重要な役割の一つは、先祖を祀(まつ)る「祭主(まつりぬし)」であると強調している。天皇の「祭主」としての役割は、政治的な権限や国民の支持とは切り離された、皇室の存在意義そのものなのだ。男女平等を口実に男系継承を断ち切ることは、天皇を「祭主」の地位から切り離し、単なる「個人の信仰」や「国益のための象徴」へと変質させてしまうため容認できないと主張する。

 リベラル政党やメディアが女性天皇を推す理由としては「男女平等の原則」という一言で片付けられるが、男系男子でなければならない理由を理解してもらうには、多大な労力を要する。そこで新田氏はこう指摘する。

 「世界には約41億人の男性がいるが、その中で天皇になれるのは、現在は秋篠宮殿下、悠仁殿下、常陸宮殿下のわずか3人のみ。この事実は、皇位継承が男性の特権ではなく、むしろ『一般男性排除』だ。女性は結婚によって誰でも皇族になれる資格があり、天皇の母や摂政になる道が開かれている」

 女性・女系天皇が認められた場合、愛子内親王殿下が天皇に即位することによって直面するであろう過酷な運命は容易に想定できると新田氏は指摘する。

 「他の皇族に頼ることなく、お一人で直系の後継者を必ず残さなければならない」という重圧に耐えられるのであろうか。さらに、婿となる人物が、歴史的な役割を担う重圧や批判に耐えられるのか。こうした普通の男性がためらうような立場に、あえて志願してくる者がいるとすれば、皇統破壊など政治的思惑や野心を持っているのではないかという疑念が生じるだろう。

 その上で新田氏は、愛子天皇の推進論者の中には、最終的に皇室を廃止し、共和制へ移行するための「一時的な延命策(中継ぎ)」として利用しようとしている勢力がいると注意喚起した。

 過酷な運命を御一人に背負わせていいのかという重要な問い掛けだ。

(報道部)

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