トップ国内【連載】皇室典範改正―安定的継承の行方(上)第一優先は旧宮家の養子縁組

【連載】皇室典範改正―安定的継承の行方(上)第一優先は旧宮家の養子縁組

 安定的な皇位継承に関する国会の全体会議が15日、1年ぶりに開かれた。皇室典範に関する有識者会議の答申から4年以上が経過しており、7月中旬に迎える特別国会会期末までの皇室典範改正が願われている。(報道部)

天皇陛下の65歳の誕生日を祝う一般参賀で、手を振られる天皇、皇后両陛下 =2025年2月23日午前、皇居

 高市早苗首相は12日の自民党大会で、「男系で皇統が継承されてきた歴史的事実が天皇の権威と正統性の源だ」と述べた。万世一系の皇室は世界に類を見ない。

 終戦直後の1947年、新憲法と皇室典範の施行に伴い、旧11宮家の51人(男性26人、女性25人)が皇籍離脱。皇室は16人(男性7人、女性9人)となった。

 65年の秋篠宮殿下の御誕生以来、2001年の愛子殿下まで皇室では9人連続で女子が誕生した。女性皇族は天皇、皇族以外と結婚すれば皇室を離れる。秋篠宮家の次女佳子殿下が誕生された1994年の26人が最大で、以来、減少傾向が続いている。

 男子が長く生まれていない状況を前に、小泉純一郎首相(当時)の私的諮問機関である有識者会議は2005年11月、「女性天皇や、母方だけが天皇の血筋を引く女系天皇を容認する」という報告書を策定した。翌年1月、小泉氏は皇室典範改正を表明したが、改正案を提出する直前に秋篠宮妃紀子殿下の御懐妊が判明したことで、先送りになった。

 06年9月に、悠仁殿下が誕生されたが、悠仁殿下の世代に皇位継承資格がある皇族が不在となる事態は避けなければならない。

 17年に、安定的な皇位継承を確保するため、退位特例法(天皇の退位等に関する皇室典範特例法)の付帯決議が国会で採択された。政府有識者会議が21年に報告書をまとめた。ただ、自民と立憲民主党の意見が対立し、全体会議は昨年4月17日を最後に開かれていなかった。

 15日の全体会議は1時間半かけて行われ、今回初めて参加した中道改革連合とチームみらいなど全13党派が顔をそろえた。21年の報告書に沿って、①女性皇族が婚姻後も皇族身分を保持する一方、配偶者と子は皇族としない②養子縁組による旧宮家の男系男子の皇籍取得――の2案について意見を出した。旧宮家の男系男子を直接皇族とする三つ目の案は今回、議論の対象となっていない。

 与党の自民と日本維新の会、国民民主党、公明党、参政党、みらいは2案に賛成している。

 森英介衆院議長(自民)は、今国会で皇室典範改正を実現すると宣言した。自民の小林鷹之政調会長は全体会議で2案に賛意を示し、「今国会の間に必ず皇室典範改正を実現する必要がある」と主張。2案の同時実現が必要だと述べた。維新の藤田文武共同代表は、「立法府としての意思を取りまとめる時期に来ている」と今国会での成立を熱望した。

 自民、維新両党は養子案を「第一優先」とする。自民の麻生太郎副総裁は、「現皇族の方と11の旧皇統男系男子孫が双方の自由な意思に基づいて親子の縁組をすることができるようにする必要がある」と強調した。

 国士舘大学の百地章特任教授は、5年前の政府有識者会議で「旧宮家のうち、久邇家・賀陽家・東久邇家・竹田家には、現在20代以下の未婚の男系男子が少なくとも10人はおられると思われる」と話している。

 2案に難色を示しているのが中道。立民と公明の間で大きな隔たりがあるためだ。立民系議員は女性皇族が婚姻後も残ることには賛成しつつも、配偶者やその子らも皇族とすべきだと主張。15日の全体会議では党としての見解を示さなかった。

 会議に出席した立憲民主党の長浜博行参院議員は、「時の首相が国論を二分するような政策に挑戦するという姿勢で、皇室典範の改正を選挙公約に掲げこの課題と対峙(たいじ)するなら、立法府としてもこの全体会議の運びを再検討すべきだ」と述べた。5月中旬に開かれる次回会議までに中道が統一見解を示せるか、残された時間は短い。

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