トップ国内アイヌを先住民族とした政府方針はロシアの日本侵攻の呼び水になる

アイヌを先住民族とした政府方針はロシアの日本侵攻の呼び水になる

戦争学研究家 上岡龍次

白老町ポロト湖畔に誕生したウポポイ(民族共生象徴空間)
白老町ポロト湖畔に誕生したウポポイ(民族共生象徴空間)

定義無き方針

 アイヌは日本の先住民か否かで国内が二分されている。北海道には縄文人が生活していたが12から13世紀からアイヌが確認されている。アイヌが日本で確認される前から縄文人が生活していた証拠が確認されているが、明確な定義がないままアイヌが先住民とする話が定着している。

 そんな中で先住民の定義・アイヌの定義・現在のアイヌの人口などが不明なまま、政府はアイヌを先住民と位置付けた。ロシアのプーチン大統領は2018年12月に、日本のアイヌを「ロシアの先住民族」に認定していた。このことからプーチン大統領が日本侵攻の口実にする可能性が危惧されている。

曖昧な政府方針

 アイヌを先住民族と位置付けた政府方針は、先住民の定義とアイヌの定義が不明なまま定められた。大まかに言えば北海道には縄文人が住んでいたが12から13世紀からアイヌが確認されている。ならば先住民は縄文人でありアイヌは先住民ではない。アイヌは大陸からの渡来系か、大陸からの渡来系と縄文人との混血のいずれかになる。混血だとしても先住民には該当しない。

■黄川田アイヌ担当相が反論 保守党・百田氏の「アイヌの先住民族明記は大きな過ち」発言に
https://www.sankei.com/article/20260410-5WWMESUKRRF73BZJGF3WENJNNA/

 北海道にはアイヌよりも前に縄文人の遺跡が確認されている。この縄文人の遺跡を無視してアイヌを先住民とする政府方針に疑問が出るのは当然。国内にはアイヌ利権が絡んでいるとの声もあるが、私はロシアのプーチン大統領の過去の発言とジョージア・ウクライナに侵攻した口実が危険だと判断する。

■プーチン大統領「アイヌはロシアの先住民族」 開拓の歴史を抹殺しているのは日本人 中村恵子
https://www.sankei.com/article/20231123-GGLDL7ZXMZB5RGZWVWPOFVX5XY/?outputType=theme_weekly-fuji

 プーチン大統領は過去に日本のアイヌは「ロシアの先住民族」と示しており、これはロシアの先住民が大陸から日本に渡り定住した意味になる。ここで不明なのはいつの時代のロシアの先住民なのか? 日本でアイヌが確認されているのは12から13世紀だから、ロシアであればキエフ・ルーシ(882~1240)、ウラジーミル・スーズダリ大公国(1157~1363)のいずれかの先住民となる。

 だがキエフ・ルーシとウラジーミル・スーズダリ大公国の領域は日本から5800kmは離れており、何を根拠にアイヌがロシアの先住民とするのか不明。ロシア帝国(1721~1917)であれば日本の隣国だったがアイヌの確認時期が合わない。だがプーチン大統領がアイヌをロシアの先住民としたならば、今後の日本侵攻の口実に使われると見るべきだ。

悪しき戦例

 ソ連時代からロシアは隣国のジョージアに国民を移民として送り込んだ。ソ連が崩壊しロシア連邦に変わる頃になるとジョージア北部のロシア系移民は現地民よりも多数派になった。多数派のロシア系移民は移民自治を求めて選挙を行い勝利。次にロシア系移民は祖国への帰属をプーチン大統領に求めた。するとプーチン大統領は自国民保護を名目にジョージア北部に侵攻し南オセチア紛争(2008)が発生した。

 さらにロシアはウクライナ東部にも国民を移民として送り込んでいた。この時もプーチン大統領はロシア系移民の保護を名目にウクライナに侵攻(2022から現在)している。プーチン大統領はジョージア・ウクライナでロシア系移民を自国民として保護する名目で軍事侵攻している。ならばアイヌがロシアの先住民だとする言葉は、北海道のアイヌをロシア人として保護する名目で日本侵攻を行う可能性が高い。

移民は侵略の尖兵

 ロシアが伝統的に移民を侵略の尖兵として使っているのは明白。さらにジョージア・ウクライナのロシア系移民は移民自治を求めており、受け入れ国の人間にはなっていない。これは現地政府・原住民無視だから国取りを意図的に行っている。

【植民地(Colony)】
1:移民地
 原則的に移民自治(現地政権・原住民無視)。
2:資源収奪・製品市場
 限定主権の原住民政権存続(保護国化)。
3:戦略的基地の獲得
 総督府による直接統治。

【移民の区分】
・受け入れ国の人間になる移民:原則的に現地政府に従う
・植民地としての移民    :原則的に移民自治(現地政府・原住民無視)

 植民地の区分から見ればロシアが行っていたのは移民地にするため。この移民地としての植民地はアメリカへの移民と同じ。資源収奪は15世紀からのヨーロッパ諸国の植民地であり、1857年のセポイの反乱からイギリスは戦略的基地の獲得に方針変更した。

 改めて見れば植民地争奪戦は第二次世界大戦で終わっていない。それどころか移民地としての植民地を第二次世界大戦後から中国・ロシアが伝統的に継続していることは明白だ。この状況なのに日本政府は曖昧なアイヌの存在を先住民とした。プーチン大統領から日本侵攻の口実にされることをしてしまった。

ウクライナに勝利すれば日本侵攻も

 仮にプーチン大統領が北海道のアイヌをロシアの先住民とし、自国民保護を名目に日本侵攻をするとすれば、ウクライナに勝利してからだ。今のロシア国内は長期化した戦争で疲弊したが、戦争に勝利したら熱狂的な愛国心が爆発するはずだ。そうなれば北海道のアイヌをロシアの先住民と見なして日本侵攻を行うことは容易。仮にアイヌがロシアの先住民とする科学的根拠がなくても熱狂があれば良い。

 その時は日本国内のアイヌがプーチン大統領に保護を求めれば国連とロシアが連携して日本を批判する。国連と親ロ派がメディアを用いて北海道独立を認めロシア軍の日本侵攻を肯定する可能性が高い。この時にアメリカは戦略的基地を失うことを恐れて日本と連携することは間違いない。

 だがその時の日本政府が自衛隊を用いてロシア軍を迎撃するかは不明。これを回避するにはウクライナが戦争に勝利することだ。ウクライナが勝利すればプーチン大統領の政権は消え去り次の穏健派に変わる。さらに国内のアイヌ問題の背後にロシアが関与していれば、ロシアの敗北と共に証拠が出てくる。この時に日本政府が証拠を国連に突きつければアイヌ問題は終了する。

(この記事はオンライン版の寄稿であり、必ずしも本紙の論調と同じとは限りません)

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