トップ国内【連載】自民圧勝 ’26衆院選から探る(3)安保強化・改憲へ本腰

【連載】自民圧勝 ’26衆院選から探る(3)安保強化・改憲へ本腰

衆院選から一夜明け、記者会見する高市早苗首相(自民党総裁)=9日午後、東京・永田町の同党本部
衆院選から一夜明け、記者会見する高市早苗首相(自民党総裁)=9日午後、東京・永田町の同党本部

 今回の衆院選で、自民党は単独で衆院全体の3分の2に当たる310を上回る316議席を獲得した。よほど政権を揺るがす出来事が起きない限り、国政選挙は2028年夏の参院選までないだろう。高市早苗首相の自民党総裁としての任期は来年夏までだが、今回の圧勝劇で総裁再選は確実視される。高市氏は、約2年半の間、自身が目指す政策を実現するための時間を手にしたといえる。

 高市政権の影響が自民党を上回る「政高党低」となり、首相と官邸主導で政治が進められるという見方がある。元自民党幹部職員で政治評論家の田村重信氏は、自民圧勝により「官邸のリーダーシップはある程度は強まる」と予測する。ただ、「自民は長年、与党としてきちんと政策決定プロセスを踏まえてきた。安全保障にしても消費税の問題にしても各専門部会で議論して、政調審議会を経て総務会で了承される民主的なプロセスを踏む過程は変わらないだろう」と話す。

 また、首相の高い支持率が長く続くかは予断を許さない。政権の勢いのあるうちにどれだけ成果を挙げることができるか、スピード感が求められる。

 「今回の解散総選挙は、高市内閣が掲げる責任ある積極財政、安全保障政策の抜本的強化、政府のインテリジェンス機能の強化といった重要な政策転換を自民党と日本維新の会との連立政権で進めてよいのかどうか。そのことをこれから始まる長い国会で本格的にご審議いただく前に、国民の皆さまに問う選挙だった」

 選挙から一夜明けた9日、高市氏は「国論を二分する政策」を掲げた結果、信任が得られたことを強調した。

 覇権主義を進める中国、ウクライナ侵略をやめないロシア、核開発を進める北朝鮮に囲まれており、安全保障環境は厳しさを増していることを踏まえ、高市氏は「長期戦への備えは急務」と指摘、「平和と独立、領土、領海、領空、そして国民の生命と安全」を守り抜く覚悟を強調した。

 3月後半には米国を訪問し、トランプ大統領と会談する。投票日前の5日、トランプ氏はSNSで高市氏について「すでに力強く、賢明な指導者であることを証明した」と持ち上げた。衆院で安定多数の議席を持つことは、諸外国の信頼を高める結果になり、外交を優位に進められる。高市氏がトランプ氏と蜜月関係を築くことができれば、日本のプレゼンスは高まるだけでなく、関税交渉を優位に進めることもできよう。

 高市氏の肝煎り政策、スパイ防止法の制定を含めたインテリジェンス機能の強化については、「具体的には国家情報局の設置、そして外国から日本への投資の安全保障上の審査体制を強化する対日外国投資委員会の設置のための法案」を国会に提出し、「国家としての情報分析能力を高め、危機を未然に防ぎ、国益を戦略的に守る体制」を整えたい考えを示した。

 憲法改正は、長期安定政権を築いた安倍晋三元首相でも実現することができなかった。9日の記者会見で高市氏は、「各会派の協力も得ながら改正案を発議し、少しでも早く憲法改正の賛否を問う国民投票が行われる環境を整える」と述べた。憲法改正には衆参各院の3分の2以上の賛成で発議されたのち、国民投票で過半数の賛成が必要だ。参院では与党が過半数割れしているものの、国民民主党や参政党を含めた改憲派勢力は3分の2を維持している。

 結婚後の旧姓通称使用の拡大の法制化や皇室典範の見直しも含め、保守的な政策が加速しそうだ。

 (衆院選取材班)

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