
2月8日投開票の衆院選で、高市早苗首相(自民党総裁)が勝敗ラインに設定した与党過半数を大きく上回り、自民単独で3分の2を超える316議席を獲得した。選挙結果について自民党の元政務調査役で政治評論家の田村重信氏に聞いた。(聞き手・豊田 剛)
――自民党の歴史的圧勝になった。
高市内閣の支持率は70%前後と高い。その中で選挙をすれば、議席に反映するのが一般的で、その通り動いた。「私を信任するかどうか」と争点化したことが奏功した。高市氏を信任することはすなわち、自民党に投票することになる。それが、自民が大勝した一番の理由だ。
なんといっても高市首相のキャラクターが大きい。日本初の女性首相として話題だった。物事を分かりやすく話す、トランプ米大統領、難しかった韓国の李在明大統領との首脳会談で示されたように、トップ同士の信頼関係が構築され、とても見栄えが良かった。
失われた30年と言われるように、過去30年は現状維持だった。そんな中、高市首相はチャレンジしてのし上がってきた。時代の変化に対応しないといけないと身をもって国民に訴えたところ、特に若い人に支持された。
――中道改革連合が議席を3分の1以下に減らした。
前回の衆院選では、立憲民主党が勝ち過ぎた。ある程度減ることは予想された。だから、公明党と協力して中道を結成する動きになったのは理解できる。小選挙区で自民の公明票が減った分乗る。公示前は、小選挙区では立民と公明ががっちり組めば自民は苦戦すると予想された。
ところが、立民が公明と協力することで、原発や平和安全法制など従来の重要政策があいまいになった。結果、旧来の支持者は批判的になって離反した。公明票はそこそこ行くが、立民票が大きく抜けたため、マイナスに作用した。
選挙目当てで結党したことが有権者に批判的に映った。国会議員を当選させたいだけの政党、国民に何をするのか不明確な政党でしかなかった。
選挙は、党首の「顔」が大事になる。昨年の参院選では、国民民主、参政の両党は党首に発信力があったから躍進した。今回は、高市さんが輝いていた。それに比べて、中道は、古くくたびれた印象でマンネリ化した2人がトップだった。
――リベラル左派政党が軒並み苦戦した。
国際情勢を見ると、日本を取り巻く安全保障環境は厳しい。米国は孤立主義に走っている。安全保障を考えた場合、自らの国を自らが守ることが大事になる。防衛力強化を推進する勢力を端(はな)から批判し、憲法を守っていさえすれば平和でいられるという主張が陳腐化された。
――通常国会冒頭での解散には批判があった。
自民の国会議員の幅は広いが、より高市首相の考えに近いのは日本維新の会。アクセル役を果たしていく意味では、その存在は大きかった。解散総選挙をした理由の一つとして、政策を推進するに当たり、予算委員会の委員長や憲法審査会の会長が野党だとうまくいかないことがあった。スピーディーに進めるにはやはり数が必要だ。
――今後の見通しは。
衆院で3分の2の議席を得たので、参院で法案が否決されても、衆院で再可決すれば法案が通る。だから、参院の議席が少数であることをそれほど気にしなくてもよくなった。
ただ、数の力で強引な仕事をすることは避けるべきだ。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉の通り、謙虚にやっていかないと国民から批判を受ける。






