


米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)や嘉手納飛行場などの米軍施設が集中する沖縄2区は、昨年11月に社民党副党首だった新垣邦男が見解の相違を理由に離党した。衆議院の議席を失った社民が公示直前に別の候補者を立てたことで構図が激変した。普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対でまとまる「オール沖縄」勢力が分裂した選挙となる。
新党「中道改革連合」に合流した新垣は公示の1月27日、黄色いハチマキを頭に巻き第一声で「心配をおかけした」とお詫(わ)びし、「ぶれない」政治姿勢を強調。「安全保障政策を大きく変える高市政権」を批判し、「自民党を倒すために野党の大きなかたまりに参入した」と、新党合流の経緯を説明した。その上で、「戦う相手を間違えてはいけない」と社民候補へ票が流れることを警戒した。
新垣の選対事務所には連合沖縄会長の仲宗根哲の為書(ためが)きが並ぶ。「オール沖縄」として精力的に地元の選挙に携わってきた新垣は「オール沖縄」や各議員団からの信頼が堅く、知事の玉城デニーの支援も受ける。
新垣は、社民の後ろ盾を失ったが、より強力な公明党が支援する。2年前の衆院選で自民候補を推薦した公明党県本部代表の上原章が新垣の元に駆け付けた。
ただ、陣営は一枚岩ではない。公明は「立憲民主党以外の『オール沖縄』勢力と並んでマイクは握れない」と注文を付けたため、新垣陣営は出発式と第一声を分ける異例の対応を行った。同陣営は応援弁士の配置に配慮が求められ、短い準備期間の選挙戦における支援体制はまとまっていない。
社民の刺客として出馬した瑞慶覧長敏は2009年、沖縄4区で旧民主党から出馬して当選し、18年には南城市長を1期務めた経歴を持つ。今回、中道の辺野古移設容認とも取れる発言を受け、明確に反対する立場で立候補したと明らかにしている。社民党党首の福島瑞穂も沖縄入りし、辺野古移設の反対を繰り返し訴えた。
社民党沖縄県連は複雑な内情を抱えている。公示の約1週間前、県連内部では「オール沖縄」と一致して選挙をすべきとする側と、党に従うべきとする側が対立し、一本化の協議は決裂した。実際には新垣も辺野古建設反対を打ち出していることから、結果として、辺野古建設に反対する候補が2人となった。
過去5回、比例復活で当選してきた自民の宮崎政久は今回こそ「小選挙区から当選する」と意気込む。前回の24年衆院選沖縄2区では、日本維新の会と参政党の候補に一部保守層が流れた。今回宮崎は維新の推薦を取り付けることができたが、公明の離脱で「厳しい、苦しい選挙だ」と繰り返し訴える。
防衛副大臣の宮崎は、緊急対応のため東京に待機する「在京当番」で選挙期間中に選挙区入りできない日もある。街頭演説に回れない分、宮崎陣営は1月中旬からショート動画を1日1、2本のペースで公開するなど、SNS発信に力を入れている。自衛隊や経済政策紹介のほか、首相の高市早苗や防衛相の小泉進次郎との連携をアピールし、「私が沖縄の先頭に立って沖縄のために高市総理と国を動かす」と政権継続支持を呼び掛ける。
宮崎の応援には、小泉や外相の茂木敏充、経済安保担当相の小野田紀美が駆け付け、それぞれの集会には約300人の支援者らが集まった。知名度ある応援弁士の演説を切り抜いた動画発信をし、無党派層の取り込みを図る。
地元メディアは選挙戦終盤の情勢分析で新垣と宮崎の接戦を報じるが、ネット上の選挙戦に強い参政が前回の参院選で非自民の保守層の受け皿となったことを受け、吉田悠里がどれだけ票を集めるか自民は警戒している(同党幹部)。(敬称略)
(衆院選取材班)
【連載】’26衆院選 注目区を行く(1)大阪2区 「都構想」推進派が激突 府市ダブル選挙に批判の声も
【連載】’26衆院選 注目区を行く(2)神奈川2区 菅元首相引退で新人乱戦
【連載】’26衆院選 注目区を行く(3)兵庫8区 公明が“牙城”撤退で混戦






