トップオピニオンインタビュー【インタビューfocus】家庭連合「特例法」の闇(上)教団清算指針に違憲の疑い 杉原 誠四郎氏に聞く

【インタビューfocus】家庭連合「特例法」の闇(上)教団清算指針に違憲の疑い 杉原 誠四郎氏に聞く

杉原誠四郎氏

 文部科学省は10月20日、世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)を念頭に、「指定宗教法人の清算に係る指針」(以下、指針)を策定した。東京地裁の解散命令決定に対する即時抗告審が東京高裁で続く中、高裁が決定を支持した場合に備えたものだが、元武蔵野女子大学教授の杉原誠四郎氏は、現在進行中の教団の清算に向けた法的手続きとそれを補う今回の指針には重大な問題があると指摘した。(信教の自由問題取材班)

 ――指針案について、文科省にパブリックコメントを出したと聞くが、その要点は。

 解散命令が確定していない宗教法人であっても、解散のための手続きが進んでいる以上、解散命令が確定した場合の清算の手続き等の指針を定めるのは、一応は許されることだ。

 だが、その解散となる宗教法人の財産から、自称被害者と名乗る者の損害の報告に基づいて、それを「特定不法行為等」と称して損害賠償を行うのは、憲法で保障されている財産権を侵すことになり、憲法違反となるのではないか。

 ――「特定不法行為等」とは具体的には何を指すか。

 「特定不法行為等」は、令和5(2023)年12月13日に成立(同20日公布、翌年3月19日施行)した「特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律」(以下、特例法)の第2条2項で、「特定解散命令請求等の原因となった不法行為、契約申込み等の取消しの理由となる行為その他の行為及びこれらと同種の行為であって、対象宗教法人又はその信者その他の関係者によるもの」とされている。つまり、その中心は、文科省が家庭連合の解散命令請求を行う原因となった不法行為ということだ。ところが、文科省が解散事由とした被害報告にある「被害」は、被害者と名乗る者による被害申告にすぎず、教団側の不法行為が法的に確定したものではない。

 ――それはどういうことか。

 文科省は、家庭連合にあって、1980年ごろから2023年ごろまでの約43年間にわたり、被害者1560人弱、被害額204億円超あったとして解散命令を申請した。つまり教団の不法行為による被害者が1560人、被害額が約204億円あったというのだ。

 ところが、これは二つの重大な問題を抱えている。まず、法治主義の大きな原則の一つである法的時効のことを全く無視している。「不法行為」というのは、既存の法令に違反として該当する規定がないもので他人に損害を与えた場合をいう。その法的効力は、民法第724条によると、行為時点より20年経(た)つと賠償を求めることができなくなる。43年も前の不法行為の被害を持ち出すのは、この原則を完全に無視したものだ。

 ――二つ目は何か。

 文科省は、家庭連合に悪質性、継続性、組織性において許し難く不法行為があるとしたが、家庭連合は2009年、コンプライアンス宣言を出して、それまで教団や関係者の不法行為が認定された「未証し伝道」「因縁等に結びつけた伝道」「過度な献金勧誘」など、社会的に批判を受ける献金勧誘を行わないように教団内に指示した。

 その後、裁判で不法行為として認定されたものは1件(原告1人、賠償認容額約476万円)だけで、2015年以降は1件もない。従って継続性はなく、現時点では問題のない宗教法人になっている。

 にもかかわらず文科省は、一審も含めて法的に一切不法行為が認められておらず、既に和解・示談金の支払いも終わった訴訟上の和解(419人、約57億円)や裁判外の示談(971人、約125億円)も不法行為の「被害」に含めて解散命令請求を行った。つまり、被害者1560人、被害額約204億円というのは全くの印象操作だったのだ。

 ――文科省は元信者ら261人の陳述書も東京地裁に提出した。

 解散請求は現在の事由で行われるべきだ。文科省も被害者を名乗る人の被害陳述だけでは不法行為は成立しないことは十分承知していたはずだが、新しい証拠を集めようと、ひたすら被害報告を集めたのだろう。だが、この被害報告には、不法行為としての認定がないどころか、虚偽の陳述が多数含まれていることが既に判明している。

 このように、文科省が解散命令請求の原因とした不法行為(特定不法行為)は、時効を無視して過去に遡(さかのぼ)ったもので、不法行為として問責できなくなっているものだ。コンプライアンス宣言後、特に15年以降は、全て法的に確定する手続きを経ていない。それらまで損害賠償の対象とするのは、法治国家、法の支配の下、あり得ない話であり、指針は根本から改められるべきだ。

【インタビューfocus】家庭連合「特例法」の闇(下)法治主義の原則に背く立法 元武蔵野女子大教授 杉原 誠四郎氏に聞く

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