東京都新宿区はこのほど、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」を公費で購読しない方針を決めた。政党や会派への平等性を考慮しての対応だ。全国各地の自治体で共産議員による強引な勧誘が表面化しており、公費での赤旗購読に国会議員からも異論が出ている。(「しんぶん赤旗」勧誘問題取材班)
吉住健一区長は11月26日、「秘書課で『しんぶん赤旗』、『しんぶん赤旗日曜版』をそれぞれ3部、区政参考用として購入している」と認めた上で、「今後は、購読を取りやめる予定だ」と語った。新宿区議会本会議で日本維新の会の古畑匡規(まさのり)区議が質問した。
古畑氏は①パワハラなどの禁止を議員に周知徹底すること②議員による区職員への政党機関紙勧誘・購読・集金等をパワハラと定義し禁止すること③ハラスメントや不当な勧誘を許さない議会であること―の宣言を求めていた。
吉住氏は答弁で「政党機関紙を公費で購入する基本方針は定めていないが、政党や会派への平等性を考慮し、今後は購読する予定はない」と明言。「政党機関紙を購読すれば自治体職員が住民福祉の増進を図ることができるようになるという(赤旗の)主張には疑問を持っている」とも述べた。
区では職員以外が執務室に入ることは許可されておらず、庁舎内での政治活動や物品販売も庁舎管理規則上、認められていない。 ところが、吉住氏によると今年6月の「第2回定例会前までは議員が職員を訪問し、庁舎内で勤務時間中に集金が行われていた」という。
庁舎内での政党機関紙勧誘の実態を調べるため、区は今年8月、アンケートを実施。85.2%が区議から購読の勧誘を受けた経験があったことが分かった。勧誘を受けた職員のうち、6割以上が心理的圧力を感じ、5割が「やむを得ず購読した」と答えた。
3日には、庁舎内における機関紙購読に伴うパワハラを問題視する市民団体が、①庁舎内管理規定にのっとって庁舎内勧誘を明確に禁止すること②心理的圧力を受けて現在も購読を継続している職員への救済措置として現行の契約をいったんすべて中止すること―などを求めて陳情を行う。
新宿区のケースは氷山の一角だ。他の自治体でも、赤旗を中心とした政党機関紙の購読や勧誘時のハラスメントが問題になっている。富山県舟橋村の渡辺光村長はX(旧ツイッター)で、村長、教育長、総務課長がこれまで慣習で赤旗を購入していたがやめたと言及。「そもそも新聞じゃなくて機関誌」「購読料が共産党の活動原資に繋(つな)がっていることもバカげた話」として、同じような事態が起きている自治体首長は断固禁止にすべきだと主張した。
東京都港区や兵庫県芦屋市でも、機関紙勧誘を巡りアンケートが行われ、職員が心理的圧力を感じたり、議員が立ち入り禁止の執務室で勧誘や集金をしたりする事態が表面化している。
維新の藤田文武代表は赤旗について、「公平性を重視するような報道機関ではない。共産党のプロパガンダ紙だ」と強調している。
自民党の有村治子総務会長は自身のXで、「なぜ自治体が共産党の機関紙である『赤旗』を、購入せねばならないのでしょうか」と疑問を提起。自治体首長や地方議会に対して、実態を明らかにしてほしいと要望した。
自民党はかつて、公務員への赤旗勧誘について、問題のある事例がないか調査するよう各都道府県連に通達を出したことがあった。2014年6月、竹下亘(わたる)・党組織運動本部長(当時)の名前で出された通達では、議員の立場を利用して強制的に赤旗を購読させているのであれば、看過できない事態だと指摘。過剰で強引な勧誘が行われていないか「必要な対応」を取るよう呼び掛けていた。







