トップ国内今こそ家庭を大切にする価値観を【持論創論】

今こそ家庭を大切にする価値観を【持論創論】

日本の家庭を守る会代表 小笠原 裕

 わが国の世帯構成はこの40年で大きく変化した。大世帯が急速に消滅し、逆に単独世帯が増えている。

 内閣府の調査によれば、三世代世帯は、昭和55年に全世帯の50・1%であったが令和4年は7・1%に激減している。逆に単独世帯は、同時期に10・7%から31・8%に増加しているのである(令和6年版高齢社会白書より)。

 なぜ、このように日本の世帯構成が激変してしまったのだろうか。それは、家庭に対する日本の伝統的な価値観が、戦後大きく変わってしまったことに由来すると思う。もちろん、高齢化が進み高齢者の一人住まいが増えたことも一つの要因であるが、家族の在り方が根本的に変化して、離婚や別居などが進んだことも、大きな理由である。

 日本国憲法には、基本的人権を尊重する価値観が謳(うた)われているが、家庭を大切にする価値観は抜け落ちている。第24条第2項は、婚姻に関する規定であるが、「離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関して」と書かれている。この文言の並び順を見ると、家族より婚姻、婚姻より離婚が優先されているようにも読める。個人を最優先するという憲法の基本的思想が、ここに表れているのだ。

 しかし、その結果日本の社会が失うものは大きく、現在その存続が危ぶまれるほどの危機に瀕(ひん)していると言える。「お一人様」と言われるように、単独世帯が増えた結果、それを支える社会保障費用の増加をもたらしているのである。

 例えば、生活保護は世帯単位に支払われるから、単独世帯が増えれば、それだけ受給額は増える。わざわざ受給額を増やすために、別居したり離婚したりするケースも少なくない。ある高齢者向け施設の施設長に聞いた話であるが、利用者には生活保護受給者もいるが、施設に高齢者を入れるために家族が来ても、その後二度と来ないことが少なくないそうだ。

 経済的に厳しい人を救済するセーフティーネットは大切である。しかし、その制度が、家族がばらけることを助長するのであれば、本末転倒ではないだろうか。

 そして個人が孤立化すると、国がその個人の生活を守らなければならなくなり、ますます社会保障費の増加を招く結果となる。日本社会は、このような悪循環に陥っているのではなかろうか。

 大切なのは、家族がお互いに支え合うという、かつての日本では当たり前だった価値観だと思う。三世代世帯では、夫婦で共働きしても、子供を保育園に預けず、おじいちゃん・おばあちゃんが子供の面倒を見てくれる。子供にとっては、それが社会生活に必要な、基本的な教育を受ける場にもなる。おじいちゃん・おばあちゃんが老いて体が動かなくなった時、施設の世話にならなくとも、家族に見守られて豊かな老後を過ごすことができる。保育園や高齢者施設を作らずとも、子供や高齢者が安心して生活できる社会がそこにある。そしてそれが、社会経済的にも極めて効率がよいのである。

 日本がかつて持っていた、家庭を大切にする価値観が、今こそ見直されるべきなのである。

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