トップ国内【連載】スパイ防止法制定―公約化される背景 (8)自維国が政策論議を本格化

【連載】スパイ防止法制定―公約化される背景 (8)自維国が政策論議を本格化

自民党の「インテリジェンス戦略本部」初会合であいさつする小林鷹之政調会長=14日午前、東京・永田町の同党本部

 自民党内でスパイ防止法制定に積極的に取り組んでいるのは高市早苗首相だ。経済安全保障担当相だった2023年以来、国力強化をテーマにした勉強会を開催している。今年5月には「治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会」の会長としてスパイ防止法導入を当時の石破茂首相に申し入れた。その際、「スパイ防止法がないために、反スパイ法で拘束された邦人が中国にいても、スパイの交換という手段が使えない」とし、法整備の必要性を訴えていた。

 14日には、高市総裁の下、情報活動の機能強化に向けて「インテリジェンス戦略本部」を党内に新設し、初会合を開いた。政府が創設する方針の司令塔組織「国家情報局」の具体像などを検討し、提言をまとめる。米中央情報局(CIA)を参考に、「対外情報庁」を2027年度末までに創設する方針を明記した。

 本部長を務める小林鷹之政調会長は「国益を守り、国家の安全を確保するためにはインテリジェンスに関する国家機能の強化が急務」と語り①司令塔機能の強化②対外情報収集能力の抜本的強化③外国からの干渉を防ぎ、国内の安全を確保する体制の構築―を中期的なビジョンに据えると強調した。

 日本維新の会は、自民との連立交渉に当たり、インテリジェンス政策を政策協議要望「12本の矢」のうちの「第5の矢」に掲げた。▼総合的なインテリジェンス改革の推進▼「国家情報局」及び「国家情報局長」の設置▼インテリジェンス・スパイ防止関連法制の制定―を盛り込んだ。

 吉村洋文代表は、「諸外国並みのスパイ防止法を制定し情報安全保障を強化する」と主張。情報の収集・分析能力を高め、正確で戦略的な意思決定ができるようにするためにスパイ防止法制定を求めると説明している。

 10月16日の党会合では、同法制定に関する議論に着手。他党との法案共同提出に向けても前向きな姿勢を示した。

 国民民主は、法整備で他党よりも先行している。11月12日、首相に提出した経済対策に関する提言書にはスパイ防止法制定を盛り込んだ。

 「情報収集・分析機能を高めた結果、国内の人権が侵害されたり毀損(きそん)されたりしてはならない。そのバランスをどう取っていくかということと、現にインテリジェンスの現場で働く人をどう守っていくのか、そういう観点も踏まえた総合的な対策や法案をわれわれとしても用意していきたい」

 玉木雄一郎代表は10月24日の記者会見でこう述べ、排外主義とは一線を画した上で、人権を最大限に尊重することを強調。反対派の懸念払拭に注力する必要性を説いた。

 9月11日にはスパイ防止法を扱うワーキングチーム(WT)会合を開き、骨子案作成に向け有識者からヒアリングを行った。

 有識者ヒアリングの結果、「外国による不当な影響力行使の脅威が増大」しているという認識の下、「早急に対処すべきこと」として、「外国勢力による非正規情報収集活動などの影響力工作の実態の把握、対策」を挙げた。

 14日に判明した骨子案は、外国勢力による国内での活動を可視化する狙いから、ロビー活動を届け出制にし、資金の流れと影響の範囲を明らかにする仕組みをつくり、違反時には是正措置を定めるとしている。

 骨子がまとまり次第、国民民主は与野党協議を呼び掛け、臨時国会での提出を目指している。

(スパイ防止法取材班)

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