トップ国内【連載】スパイ防止法制定―公約化される背景 (7)参政躍進で法制化議論再燃

【連載】スパイ防止法制定―公約化される背景 (7)参政躍進で法制化議論再燃

参院選で参政党の最後の訴えに集まった有権者=7月19日、東京都港区(竹澤安李紗撮影)

 参院選では日本維新の会、国民民主党、参政党、日本保守党がスパイ防止法の必要性を主張した。これだけ多くの政党が同法制定を公約に掲げたのは前例がない。

 スパイ防止法に賛同する各党・会派の国会勢力は、衆院で261(自民196、維新34、国民27、参政3、保守1)となり、定数465の半数を超えている。同様に、参院(定数248)は161(自民100、維新19、国民25、参政15、保守2)で、こちらも半分以上だ。

 スパイ防止法制定の機運を高めたのは参政だ。参院選では「日本人ファースト」をキャッチコピーに、外国人や外国資本による日本の土地や企業が買収されている問題をクローズアップした。すると、若年層を中心に支持を集めて、議席を公示前の2から15に大きく増やした。

 神谷宗幣代表は参院選直後の7月22日、「情報漏洩(ろうえい)や、過去の共産主義者が行っていた天皇制度打倒など国体の破壊につながるような行為を実際に計画・行動に移したり、そうした団体に情報を流したりする行為をチェックする」と語り、スパイ防止法案の早期提出に意欲を示した。その上で、「これからの戦いはサイバーや宇宙、情報戦争。他国と対等にやりとりができないことは日本の防衛力、安全保障のレベルを落とす」と同法制定の重要性を訴えた。

 参院で予算を伴わない法案を提出できる11議席を上回った参政は10月27日、日本を侮辱する目的で日本国旗を損壊する行為を処罰する「日本国国章損壊罪」を盛り込んだ刑法改正案を参院に提出した。記者会見で神谷氏は「参院選で日本国旗にバツ印を付けて、われわれの街頭演説を妨害する人がいた。国家に対する冒瀆(ぼうとく)になる」と主張した。スパイ防止法制定に向けての地ならしと言えよう。

 それに先立つ10月1日、参政は「日本人ファースト・プロジェクト」を立ち上げている。その中の一つに「スパイ防止法プロジェクトチーム」がある。

 「情報戦の中でも特に重要な課題の一つが、諜報(ちょうほう)活動に対する備え。この諜報活動というのは、もちろんスパイ活動。近年、特定秘密保護法、能動的サイバー防御に関する法律など個別法の整備は進んでいる」

 同チームの座長を務める安達悠司参院議員はこう述べた上で、外国勢力によるスパイ活動を網羅的かつ包括的に取り締まり規制するための法律がないため、日本が「スパイ天国」と呼ばれていると指摘。週1回のペースで検討会議を重ね、さらに、関連省庁や有識者からヒアリングを行い、「今年の臨時国会での法案提出を目指す」と明言した。

 参院選で初めて政党要件を満たした日本保守党も、重点政策項目の一つに「『スパイ防止法』の制定、諜報専門機関の設置及び関連法整備」を盛り込んだ。百田尚樹代表は7月22日の記者会見でこう述べた。

 「(外国スパイにより)日本の国が危うくなり、情報を抜かれる、あるいは、工作をかけられる。当然、世界各国が(スパイ防止法を)持っているが、日本だけは戦後80年間、スパイ防止法が全くないままでいる。現実に今の日本はもうスパイ天国だ。さまざまなスパイが暗躍しているのに、自民党はなかなか作ろうとしない。すでにスパイの工作を受けている議員がたくさんいるからと私は見ている」

 百田氏は、高市早苗首相に向けて、スパイ防止法を「推し進めるなら、日本保守党は協力を惜しまない」とエールを送った。参政と保守の台頭は、スパイ防止法制定に向けて自民と維新の連立政権を突き動かす原動力となっている。

(スパイ防止法取材班)

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